そもそも全英オープンゴルフとは？

歴史・権威ある大会

1860年に第1回大会が開催された全英オープンは、メジャーの中で最も歴史があり、権威のある大会。優勝者には「クラレットジャグ」と呼ばれるトロフィーが贈られることや、「開催コースはシーサイドリンクスに限る」という暗黙のルールがあるのが特徴だ。別名「クラレットジャグ」として知られる優勝トロフィーは、毎年大会の優勝者の名前が刻まれている。当初は持ち回りで勝者が1年間保管していたが、現在はレプリカが贈られているそう。ちなみに、大会がスタートした頃に優勝者に贈られていたのは革製のベルト。トロフィー同様、勝者の持ち回りだったが、「3連覇した者には寄贈」という規定があり、達成者が出たためにワインを飲むジョッキをモチーフにしたという「クラレットジャグ」が作られた。

コースは自然の地形を利用した難コース

「あるがままの自然」を残したリンクスコースで行われるのも特徴のひとつ。アンジュレーションに富んだフェアウェイ、深さがありつつグリーン側を垂直の壁にしたバンカー、細く長いフェスキューはボールを見つけるのも大変な上プロでも脱出が難しい。さらに、雨や風といった気候も選手たちの前に立ちはだかる。そんな特徴を持ったコースで開催される全英オープンは、他のメジャーとは一線を画する存在。経験がもの言うことも多く、シニアの大ベテランが優勝争いを繰り広げることも珍しくない。

昨年の全英オープンで14Tに終わった松山英樹。
今年の展望は？

昨年の全英オープンは、世界ランク２位で迎え優勝が期待された松山英樹。初日を２アンダー、12位タイで上々のスタートを切ると、２日目はスコアを落としたものの10位タイと順位を上げて予選突破。ムービーングサタデーの3日目は、スコアを4つ伸ばし５位タイに浮上。最終日は、逃げるジョーダン・スピースを7打差で追うこととなった。が、最終日は悔いが残る結果となった。全英オープンのなかでも「最も過酷なスタートホール」と言われるロイヤルバーグデール１番で放ったティショットは、大きく右に曲がりまさかのOB。４打目もバンカーに入れスタートホールでトリプルボギー。早々に優勝争いから脱落し、14位タイで競技を終えている。

今季は、全英オープンを終えた時点で13試合に出場し、トップ10入りが2度、トップ25が7度、予選落ち1回、1回の棄権という内容だ。今年2月には左手親指を負傷し約1ヶ月半の欠場を余儀なくされた。復帰後のマスターズでも、2日目に左手首痛を発症するなど本来の調子を取り戻せていないように見える。しかし、メジャー2戦目となった全英オープンでは、最終日に「66」をマーク。ラウンド後には、調子は「悪くない」とコメントを残している。メジャー制覇への思いは強く抱いている。気持ちとプレーが噛み合えば、悲願達成の瞬間が見られるはずだ。

今年の全英オープンは多くの日本人選手が参戦！

松山英樹・小平智・宮里優作・谷原秀人・池田勇太・秋吉翔太・小林正則・川村昌弘・時松隆光・
市原弘大が出場！注目の日本人選手をピックアップ！

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  「秋吉翔太」 先月行われた「全米オープン」に続き、
  2試合目の海外メジャー出場を決めた
  急成長株の秋吉翔太。
  「実感はあまりないけど、
  頑張ってきます！」と
  力強く宣言し、今大会にかける
  意気込みは計り知れない
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  「小平智」 4月に行われたRBCヘ
  リテージで米ツアー初優勝。
  ツアーメンバーとして挑む小平は
  「メジャーはすべてが試される試合、
  これからのメジャーでまた挑戦していきたい」
  と意気込む。松山に続き上位に
  入賞する可能性を秘めた彼のプレーに注目だ！
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  「宮里優作」 7月にアイルランドで行われた
  欧州ツアーではホールインワンを記録。
  腰痛と闘いながらも満身創痍で闘う。
  難コースで行われる本大会、
  ベテランの巧みな技術に注目しよう

今年舞台となるのは、スコットランドのカーヌスティ。1850年に開場し1931年にはじめて全英オープンを開催すると、これまで7度歴史を刻んできた。特徴は、「バリー・バーン」と言われる小川が流れていること。18番ホールでは、ティショットで右から左、セカンドでは左から右へと横切る「バリー・バーン」が選手にプレッシャーをかける。この歴史深いカーヌスティで生まれたドラマを振り返ってみよう。

カーヌスティの悲劇

「カーヌスティの悲劇」として、ゴルフ史に名を刻む1999年大会。予選会から出場権を得たジャン・ヴァンデベルデは、72ホール目のティに立った時、３打のリードでトップを走っていた。最終ホールはダブルボギーでも優勝という状況だ。プレッシャーの中でのティーショットは大きく右に曲がり、グリーンを狙ったセカンドはギャラリースタンドに当たり深いラフに。続くショットをバリー・バーンへと打ち込むと、素足になって水に入るも１打罰でドロップ。意を決して放った５打目はバンカーにつかまり、痛恨のトリプルボギー。その後のプレーオフにも敗れてしまった。