ゴルフは集中力がカギを握るスポーツだ。朝イチから万全の体勢で臨むには、スタート前に脳と体を起こし、体を温めることが大切。そう考えると、ラウンド当日は朝ごはんをしっかりとることが好スコアを出す条件のひとつになるといえる。「時間がないときはコンビニのおにぎりやサンドイッチでもいいのですが、ちょっとしたポイントがあるのはご存知でしょうか。」と語るのは管理栄養士の丹羽美智子さんだ。
ゴルフのプレーは、身体と頭の両方を使う中々ハードなもの。どちらかが欠けても好スコアは望めない。ショットを繰り出す身体は、スムーズに動かせることが大前提だが、自分のイメージしたスイングを実現するために脳からの伝達系統もクリアにしておかなければならない。またプレー中はコースマネジメントや、番手の選択、ライの見極め、パッティングラインの読みなど、頭を使う場面は多い。ラウンド当日の朝食は、脳を覚醒させること、集中力を発揮できる状態にすることが必要になるわけだ。
「ゴルフのためとはいえ、朝からしっかり食事をとるのはしんどい」、「そんな都合の良い朝食メニューあるの?」という人もいるかもしれないが、朝食バイキングを利用すれば自分の食べたいものを食べたい量だけ選ぶことが可能。実はプロトーナメントでもバイキング形式の朝ごはんを提供している会場が多く、プロは食事の面からもゴルフを考えているのだ。スイングだけではなく、まずは朝ごはんのとり方もプロを真似てみては?
管理栄養士、健康運動指導士、
フードコーディネーター
給食会社、(独)国立健康・栄養研究所を経て現在はフリーの管理栄養士として活躍。大学運動部の栄養サポートやレストランメニュー開発、テレビ・雑誌のレシピ監修にも携わっている。
では実際にどんな食材を取り入れればいいのか。まずはごはんやパン、麺類などの主食に含まれている糖質をしっかりとることが大切だ。これが体内でぶどう糖に分解され、エネルギー源になる。睡眠中に消費したぶどう糖を朝食でしっかりと補い、脳を活性化させよう。また、ビタミンB1を一緒にとることによって、糖質を効率よくエネルギーに変換することができる(*1)。おかずには、青魚に含まれるEPAやDHA、大豆や卵黄に含まれるレシチン、オリーブ油のオレイン酸を活用することで、脳内の神経伝達が円滑に。さらに、脳に十分な栄養と酸素を送るためには、血液の材料となる鉄を普段からしっかりとることも重要。脳の血流は、口を使っているときが一番多く流れているため、しっかり噛んで食べることがポイントになる。食べ物の消化がよくなるだけではなく、脳に刺激が伝わって集中力を上げる準備が整うわけだ。
ちなみに、最近ガムを噛みながらプレーするスポーツ選手を目にするが、噛む動作は脳をニュートラルにし、ここぞというときに集中力を発揮できる作用がある。朝は食欲がないから水分だけというゴルファーも、朝食をしっかり食べることがスコアアップの秘訣と聞けば、食べる意欲も湧くのでは?
*1 ビタミンB1の多い食品:玄米、豚肉、レバー、鮭、鯖、大豆、枝豆、アスパラガス、菜の花、切干大根、ひじき、きのこなど
ところで、いくらバランスの良い食事を揃えたとしても、自分が食事を楽しめる状態になければ意味がない。自分の歯でおいしく食べるために、歯だけではなく歯ぐきのケアも大切なのはご存じだろうか。
30代以降は7割以上が歯ぐきに何らかのトラブルを抱えていると言われ、50代以降になると、実に約半数が歯槽膿漏にかかっているという実態がある(*2)。「歯と歯ぐきが気になって、食事が楽しくなくなってきた…」とならないためにも、歯ぐきをケアして、元気な歯を維持していただきたい。
毎日のブラッシングでも、歯と歯ぐきのキワを意識して磨こう。ゴシゴシ磨くのではなく、歯ぐきをやさしくマッサージするように磨くのがポイント。ハブラシでマッサージしにくい方には、シリコーン素材でできた指につけて使うタイプのハブラシを一緒に使うのがおすすめ。マッサージするようにやさしく磨ける新感覚を味わえる。
特に、睡眠中は細菌の繁殖を抑える唾液の分泌量が極端に少なくなる。寝る前の歯と歯ぐきのケアは時間をかけて念入りに行おう。
*2 2011年厚生労働省 歯科疾患実態調査より

