最終更新日 2007年1月10日

EXE(2007年1月10日更新):連載/フォトエッセイ:ゴルフ・エピキュリアン(Golf Epicurean)のすすめ:快楽主義者の独断的名コース・グルメ:第7回 スプリングシティ・ゴルフ&レイクリゾート(中国):文・西澤 忠(ゴルフ・ジャーナリスト)
中国ナンバーワンのゴルフコース

 アメリカのゴルフ誌が隔年で発表する“世界の名コース100選”が中国ナンバーワンに決めて10年以上が経過するコースが雲南省昆明にある。その名を「スプリングシティ・ゴルフ&レイクリゾート」。中国読みでは「春城湖畔渡假村」。雲の南にある省都、昆明(英語読みはKunming)は海抜1,770メートルの高地にあり、ミャンマー、ベトナムの国境に近い北緯22度なので、シーズンを通して春の気候、“四季春如”といわれる。日本のオリンピック候補選手が高地トレーニングする地として有名だが、ゴルファーにとっても理想的な環境なのである。

 シンガポール資本で建設された“陽宗海”(海のように大きい湖)沿いのリゾートには18ホールが2コースあり、山側のマウンテン・コ―ス(7,453ヤード・パー72、1998年開場、J・ニクラス設計)、湖沿いのレイク・コース(7,204ヤード・パー72、1999年開場、R・T・ジョーンズJr.設計)が紺碧の湖面、丹色(にいろ)の赤い岩山を背景に緑野の景観を展開している。

 実は、ジョーンズJr.とは彼が日本でも20コース余りを設計している関係で交流が昔からあって、自信作を発表するごとに「一度、見ておいて欲しい」といわれる。「クンミンのコースは自然条件が満点だったので、大胆な戦略コースに仕上がったよ」との言葉と、当事の空路、関西空港から昆明へ週2便の直行便があったので行く気になったのだった。ニクラスの山側のコースも難コースだったが、レイク・コースのウォーター・ハザードの絡み方が圧倒的なインパクトで、感銘を受けた。

 そして、2005年の春、二度目の訪問では空路が広州経由で不便ながら、もっと面白いイベントが行われて印象的だった。それは、経営者側の招待で、地元・中国人と外国人マスコミとの“メディア・トーナメント”対抗戦だったからである。初日のマウンテン・コースで予選があり、その夜のパーティで選手が発表される。幸いなことに日本代表の僕と田中三郎カメラマン・ペアが地元中国ペアとベスト・ボールで18ホールをレイク・コースで戦うことになったのだった。

中国のゴルフの将来に期待大

 テレビの撮影クルーや大勢のギャラリーが見守る1番ティで、緊張のあまりティショットをOBした僕の代わりに田中カメラマンは冷静なプレーでパーを確保、なんとか引き分けでスタートしたおかげで2番ホールからは落ち着いてプレー出来たが、7番を終って3ダウンと押されてしまった。転機は8番、湖に向かって15メートルも打ち下ろすパー3ホールでやって来た。縦長のグリーンが湖面に突き出る姿を見ると、まるで航空母艦にジェット機で着陸を試みるパイロットの気分。グリーン脇には小船に乗ったボール拾いの叔父さんが“早く池に球を落とせ”と待ち構える。僕のティショットが幸いなことにグリーン右に乗って、このホールを勝つと、次の9番は田中カメラマンがパーを確保して、1ダウンに漕ぎつけた。世界の名ホール、ぺブルビーチGL18番ホールを裏返したようなスリル満点のホールを取れたことが自信になって、インに入って我がチームが逆転の2アップで勝利を収め、インターナショナル・チームの8勝4敗に貢献することができた。

 それにしても、中国のテレビ・新聞などメディア関係者のゴルフは想像以上に腕達者で、歴史の浅い“赤い国のゴルフ”もいずれ大きな台頭を見せるに違いないと思った。

 アメリカから来たD・スミス、N・クラパルダ(“世界の名コース100選”選考委員)が口を揃えて言った。「いずれ中国のゴルフは欧米の脅威の的になるだろう。広大な国土に優れたコースが量産され、膨大な人口から優秀な選手を輩出するからさ」と。

 事実、2年前の昆明訪問ではなかった市内郊外に、ニュー・コースが2つ完成していた。ひとつはニック・ファルド設計のリンクスタイプ・コースの「レイクヴューGC」、もうひとつはジョーンズJr.設計の「サンシャインGC」。どちらもコース周辺に住宅分譲するアメリカ式土地開発で、夜間照明完備の豪華な練習場があった。そして、コース内容も発展途上の国のゴルフ場としてはタフな設計で、初心者が楽しめるコースとは思えない。世界の一流プロがラウンドしても、本気でかからなければアンダー・パーは覚束ないと感じたほど、戦略性は世界レベルなのだった。

 聞けば、同じ雲南省の麗江(昆明の北西500キロ)にも横断山脈の雪山を望む高地に3コースほどあるという。写真で見る限り、それもアメリカ人設計家の手になる本格派で、スケールの大きな景色が堪能出来そうだった。海抜3,000メートルだけにボールも飛ぶらしい。

 先頃観た映画「単騎、千里を走る。」(チャン・イーモウ監督、高倉健主演)の舞台、麗江へもいつか行ってみたくなった。


写真:Getty/AFLO

西澤忠 1941年、横浜生まれ。早稲田大文学部卒業後、(株)ゴルフダイジェスト社に入社。
月刊、週刊「ゴルフダイジェスト」誌、隔月刊「チョイス」編集長を経て、1996年にゴルフ・ジャーナリストとして独立。ゴルフは『メイプルポイントGC』のハンディ7。
訳書に『コースに恐怖を持ち込んだ男、ピート・ダイ』(小池書院刊)がある。
『週刊ダイヤモンド』誌で「日本のベスト・コース150」、「世界の名ホール探検」などを連載。
日本ゴルフ協会広報参与。関東ゴルフ連盟広報委員。
 
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