最終更新日 2006年10月18日

EXE Vol.02(2006年10月18日更新):連載/フォトエッセイ:ゴルフ・エピキュリアン(Golf Epicurean)のすすめ:快楽主義者の独断的名コース・グルメ:第2回 ぺブルビーチ・ゴルフリンクス(アメリカ):文・西澤 忠(ゴルフ・ジャーナリスト)
アメリカのゴルフ聖地、その「お値段」

 アメリカ西海岸で、海と半島が劇的に遭遇する地、モントレー半島のぺブルビーチは世界中のゴルファーが一度は訪れたいと願うアメリカの“ゴルフ聖地”。

 隣接するマッケンジー博士設計の「サイプレス・ポイントC」は超閉鎖的な会員制クラブだが、こちらはホテルに宿泊すれば誰でもプレーできるリゾート。ただし宿泊費もグリーン・フィも高額で有名だ。 ゴルフ専門カメラマンの友人、宮本卓が日本人で初めてオフィシャル・カメラマンになった2002年の10月、デザイナーとプレーしたのが印象深く残っている。プロ・ショップで売るカレンダーや絵葉書を製作する打ち合わせだった。

 ザ・ロッジの部屋は1番ホールのフェアウェイに面するガーデンビューなのに500ドル、グリーン・フィは350ドルと日本の川奈ホテル以上の高値(現在はさらに値上げして450ドル)。しかも世界中からの予約が一年半前から埋まっているという。隣室のデザイナー氏と一晩中、酒とゴルフ談義をしたので、自室で使ったのは大型ベッドの端っこだけだった。宿泊施設は他に「スパニッシュ・ベイ・イン」「カーサ・パルメロ」(タイガー・ウッズお気に入り)があり、最高のスイートルームで2,425ドルというから、億万長者の天国なのだ。

 ぺブルビーチ・カンパニーが所有する3コース(他に「スパニッシュ・ベイ」「スパイグラスヒル」)には紆余曲折があった。一時期、日本企業が所有していたが、ミレニアム記念大会の2000年全米オープンを開催する前にアメリカ・ナショナリズムに駆られた男たちがファンドを作って820億ドルで買い戻したのである。その顔ぶれは隣接するカーメル市長を務めた俳優のクリント・イーストウッド、A・パーマー、P・ユべロス(元メジャーリーグ・コミッショナー)などで、「アメリカのナショナル・オープンを外国企業所有コースで開催させるわけには行かない!」とする男気の発露と思われた。

 それに加えて、ただの打ち上げホールだった5番パー3ホールを海沿いのオリジナル設計に戻して、J・ニクラスが設計した。その新ホールを実際に体験したいという気持ちがあった。

帝王設計のホール、イーストウッド経営の店

 午後スタートだった私たち二人が1番ティへ行くと、同伴の地元ゴルファー二人が笑顔で握手をして来た。可笑しかったのは地元の人間にとってもここでプレーするのは盆と正月が一度に来たように稀なことらしく、海沿いの名物ホールに来るとやたらに記念写真を撮ることだった。「僕たちにとってもここでプレーするのは年に一度の晴れ舞台。写真を友達に見せて自慢するためさ!」と言う。

 私事で恐縮だが、スタート前に驚いたのは自前のキャディ・バッグを開いてドライバーを取り出したら、ヘッドがポロリと落ちて転がったことだ。どうやら飛行機に預けた際に折れたらしい。「さて困った?」と途方に暮れていると、宮本カメラマンが「僕はコース撮影だけだから、ドライバーをお貸ししますよ」と助け舟を出してくれた。

 借り物の硬いシャフトが不安だったが、慎重にショットしたお陰でプレーは上手く進展した。特に海沿いのホール、5番から10番までの6ホールをなんとパー・プレーしたのには自分でも驚く結果だった。

 ニクラス設計のニュー・ホールはバック・ティから188ヤード、グリーン右側に砂浜が迫る難ホールだったが、ワンオンに成功したせいか好きなホールになった。1999年にオープンした新設ホールとは思えない風格で、他のホールと溶け込んでいた。

 プレー後、夕食のためにカーメルの美しい街を散策、発見したレストランがまた秀逸だった。“The Forge in the Forest(森の中の暖炉)”という名のガーデン・レストランはクリント・イーストウッドが経営する美しい店で、なにが嬉しいといって煙草が喫えるからだった。

 食後に暖炉の前で星を眺めながら、愛用の葉巻をくゆらすデザイナー氏とウィスキー&煙草を手にした僕が、静かに沈黙していた時間が忘れられない。


写真:宮本卓

西澤忠 1941年、横浜生まれ。早稲田大文学部卒業後、(株)ゴルフダイジェスト社に入社。
月刊、週刊「ゴルフダイジェスト」誌、隔月刊「チョイス」編集長を経て、1996年にゴルフ・ジャーナリストとして独立。ゴルフは『メイプルポイントGC』のハンディ7。
訳書に『コースに恐怖を持ち込んだ男、ピート・ダイ』(小池書院刊)がある。
『週刊ダイヤモンド』誌で「日本のベスト・コース150」、「世界の名ホール探検」などを連載。
日本ゴルフ協会広報参与。関東ゴルフ連盟広報委員。
 
 ページのトップへ

過去の特集・連載記事

プレー&レッスン

RSS

連載ゴルフ・エピキュリアンのすすめ

連載ゴルフ・エピキュリアンのすすめ

毎月当る!プレゼント&新着情報

新しいゴルフスタイルはここからはじまる

スタイルウーマン これからの女性はゴルフでジブンを磨く。


Style-GOLDStyle-Neo AthleteStyle-Woman