適切なドライバーを選ぶことができればスライスは改善できる

ゴルフのスライスはゴルフクラブを換えることで改善されることをご存知でしたか。年間400~500本のゴルフクラブが誕生しているのですが、クラブによってはスライスが出にくい、出やすいといった具合に特徴が異なります。そう、自分にあったクラブを見つけることができればスコアアップの近道になるはずです。今回はクラブの特徴を見極めるにはどんなところをみればよいのかお伝えします。

目次

スライスの原因は、インパクトの瞬間にフェースが開いていること

スライスとは、打ち出されたボールが、大きく右に曲がっていくボールのことです。
初心者ゴルファーはもちろん、ある程度ベテランになっても悩み続けている人が多いのがスライスです。
特に、ドライバーで大きくスライスすると、OBになったり、2打目が打ちづらい場所にボールが行ったりして、スコアが悪くなってしまいます。
スライスはいったいなぜ起こるのでしょうか。当たり前のことですが、ゴルフボールは物理法則に従って飛んでいきます。
ボールを飛球線の後方から見て、右から左へこするような回転を与えると、ボールにはスライス回転がかかり、ボールは右に飛んでいきます。
スイング的には、アウトサイド・インというスイング軌道の時にスライス回転がかかりやすくなります。
また、インパクトの瞬間に、フェースがスイング軌道に対して開いていると(右を向いていると)ボールにスライス回転がかかります。
アウトサイド・インのスイング軌道を直すには、以前このコーナーで紹介した「スライスの原因は千差万別!それぞれに合った対策法で改善しよう」を参考にしてみてください。

スライス改善のコツ その1へ

しかし、スイングがある程度改善されたからといって、主に上級者が使うクラブ、ボールがつかまりづらいクラブを使えば、弾道はたちまちスライスしてしまいます。
実は“スライスしにくいドライバー”というのが世の中にはあるのです。
クラブを換えるだけでスライスを改善することができるよう、これから7つのポイントを紹介します。

フェースから見える要素

スライスしにくいドライバーとは、いったいどのようなドライバーなのでしょうか。先ほど、「インパクトの瞬間に、フェースが開いているとスライスする」と書きました。つまり、「インパクトの瞬間に、フェースが開きにくいドライバー」を使えば、スライスがなくなったり、軽減されたりするのです。どのようなドライバーが「インパクトの瞬間に、フェースが開きにくい」のでしょうか。ポイントは7つあります。順番に説明していきましょう。

フェースから見える要素

①重心距離が短い

重心距離とは、シャフトの中心線から、フェース面上の重心までの距離のことです。この数字が小さいほど、フェースが返りやすく、インパクトの瞬間にフェースが開きにくくなります。ここ数年発売されたドライバーの重心距離の平均は38ミリ前後といわれていますので、それよりも重心距離が短いドライバーをチョイスするといいでしょう。

重心距離は、最近ではクラブのカタログや商品のホームページなどに記載されていることが多いです。

また、クラブヘッドのクラウンを上から見たときの面積(投影面積といいます)が大きいほど重心距離が長くなる傾向が強いので、上から見たときに小さく見えるドライバーの方が重心距離が短く設計されていることが多いです。

②ライ角がアップライト

ライ角とは、シャフトとクラブヘッドの底(ソール部分)がおりなす角度のことです。ヘッドのソールのヒール側(シャフト側)を地面につけたままトウ側を上げていくとフェースが少しずつ左を向いていくのが分かるでしょうか(ショートアイアンなどで試してみてください)。それが、アップライトな状態です。つまり、つま先上がりのライ(地面)から球を打つと左に行きやすいのと同じ理屈で、ライ角がアップライト(数字が大きい)になるほど、ボールがつかまりやすく、スライスしにくくなります。

ドライバーでいえば、60度以上のものがアップライトといえるでしょう。最近では、ヘッドとシャフトの挿入角を変えることで、自分でライ角を調整できるモデルも増えてきています。ライ角は、カタログなどで数値が明記されている場合が多いのでチェックしてみてください。

また、少し余談になりますが、同じ理屈で、ティーアップを高めにしてもスライスしにくくなります。ただしこちらは、若干の技量は必要になるでしょう。

トウから見える要素

トウから見える要素

③重心深度が深い(重心角が大きい)

重心深度とは、ヘッド内部の重心の位置が、フェース面上からどのくらい離れているかを表す数値です。クラブのカタログなどに載っている場合もありますが、重心深度が深いドライバーは、重心角が大きくなっています。ですから、重心深度が分からないときは重心角を参考にするといいでしょう。

重心角とは、ドライバーのシャフト部分を机などの上に置いてヘッドが自由に動く状態にした時に、フェースが垂線に対してどのくらい上を向くかを表す数字で、重心角が大きいほど、ヘッドが返りやすくなります。最近のドライバーの重心角の平均は20度前後といわれています。なので、重心角が20度以上のモデルを探してみましょう。

④ロフト角が大きい

ロフト角が大きいクラブも、スライスしにくくなります。ショートアイアンになればなるほど左に行きやすくなるのと同様、ドライバーもロフト角が大きいと球がつかまりやすくなります。

弾道が高すぎるなど別の悩みがなければ、ロフト角が大きめのドライバーにしてスライスを軽減するのも一案でしょう。ヘッドスピードやスイングタイプ、持ち球などにもよりますが、スライサーの人にはロフト角10度以上がおすすめです。

クラウンから見える要素

クラウンから見える要素

⑤フックフェース

フェース角とはウッドを地面にポンッと置いた時にフェース面が向く角度のことです。フェース角が左に向いているものをフック(クローズド)フェースといいます。フェースが最初から左に向いている分、インパクトでもフェースが開きにくくなります。

ドライバーを地面にポンッと置いて構えた時に、少し左を向いている(1度から4度くらい)くらいのモデルの中から選んでみましょう。カタログに記載されている場合もあり、その際は「フック○度」とか「+○度」となっています。

ちなみに「オープン○度」とか「-○度」と記載されているものは、スライスしやすいモデルなので注意しましょう。

その他の要素

⑥シャフトが柔らかい

シャフトが柔らかいと、インパクトの瞬間までにヘッドが戻ってくる時間的余裕ができるため、その分ヘッドが返ってくる時間もあり、球がつかまりやすくなります。

シャフトの硬さ(フレックス)はアルファベットで表記され、A、L、R、SR、S、Xの順に硬いのですが、メーカーによって基準はまちまちです。Sでスライスする人ならSR、SRでスライスするならRなど、1ランク柔らかいシャフトを試してみてください。また、シャフトの調子(シャフトがどの部分でしなりやすいかを示すもの)に関しては、スイングとの相性もあり一概にはいえませんが、先調子(シャフトの先端の方が柔らかいこと)といわれるものの方が一般的にスライスしにくいといわれています。

⑦ヘッド重量が軽い

全体の重量に対して、ヘッドの重量が重いと、いわゆる「振り遅れる」という現象が起きやすくなります。「振り遅れる」とは、言い換えると「インパクトまでにフェースがスクエアに返りきらない」ということなので、スライスしやすくなります。

これを防ぐには、重量、特にヘッド重量が軽めのドライバーを使うことです。ただし、フェアウェイウッドやアイアンなど、ほかのクラブと比べてドライバーの重量が極端に軽くなると、ラウンド中にミスが出やすくなるので、ドライバーの重量を変えるときには注意が必要です。

スライサー向けクラブはこれ

スライスに悩むゴルファーが選ぶべきクラブの要素をまとめると、以下の通りとなります。

① 重心距離が短い
② ライ角がアップライト
③ 重心深度が深い
④ ロフト角が大きい
⑤ フックフェース
⑥ シャフトが柔らかい
⑦ ヘッドが軽い

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