もっとも飛ばせるヘッドとの組み合わせを探せ!!

ツアープロが求めるシャフト作りをコンセプトに、日本国内のみならず、世界のトッププレイヤーたち、
そしてアスリート志向のアマチュアゴルファーに絶大な信頼を得ているのが、三菱ケミカルのディアマナシリーズだ。

青・赤・白と3タイプある同シリーズのうち、この8月から“青シリーズ”の最新モデル、ディアマナBFシリーズが発売されている。
そこで「新世代の青」と銘打たれたこのディアマナBFシリーズを、主要メーカーから発売されている最新ドライバーの各ヘッドに装着。

ゴルフクラブアナリストのマーク金井と、“ゴルフBAKA”イラストレーターの野村タケオに打ち比べてもらった。
果たして、フッカーとスライサーという、持ち球が真逆の2人にピッタリの組み合わせとは?

TESTER

マーク金井

ゴルフクラブアナリストとして、最新クラブの性能分析や試打レビューを多数のメディアで展開している。ドライバーの平均ヘッドスピードは46〜47m/s。持ち球は低スピンのドロー〜フック。

野村タケオ

ゴルフ関連のイラストを数多く手掛けるイラストレーター。ドライバーの平均ヘッドスピードは43m/s前後。持ち球はフェード〜スライスでバックスピン量の多さはミドルアイアン並み。つかまってバックスピン量を抑えられるシャフトとヘッドを探し続けている。

マーク金井の 基本性能分析

現在、僕がシャフトのテストを行うときに使用するテーラーメイドのM2ドライバーのヘッドに、最新モデルのディアマナBFシリーズを装着し、まずはその基本性能を探ってみました。

打つ前に軽くワッグルしてみると、シャフト先端側の剛性が高いのがわかります。手元側もしっかりしているのですが、ほんのわずかにしなりを感じます。またグリップとヘッドを持って、雑巾を絞るようにひねってみると、カタログの数値(3.9)より少しトルク感もあります。

何発かボールを打ってみると、手元側がほんの少ししなるのと適度なトルク感があることで、トップからの切り返しでとてもタイミングが取りやすい。また高い先端剛性によって、ヘッドの挙動がとても安定しているのでミート率が高く、コントロール性にも優れています。

先端がしっかりしているとヘッドの入射角が安定するとともに、インパクトゾーンでヘッドが走りすぎず、アッパーではなくレベルに動くので、フェースのセンターから上目の“飛ばせるゾーン”でヒットしやすいんです。全体的に安定した挙動で、それぞれのヘッドが持つ性能を素直に、そして最大限に引き出してくれる。最新作のディアマナBFシリーズはそんなシャフトに仕上がっていますね。

テスト方法

ディアマナBFシリーズのシャフトはヘッドスピードが速めでアスリート志向ゴルファー向けの60S、平均的なヘッドスピードのアベレージゴルファーでも使える50Sと、重量の違う2種類を用意。

ヘッドも主要メーカー5社から発売されている人気モデルの、アスリート向けとアベレージ向けの2種類(計10モデル)を用意。

アスリート向けのヘッドには60S、アベレージ向けのヘッドには50SのディアマナBFシリーズを装着した。

ショットのデータは弾道解析機GC2で計測。
フッカーのマーク金井さんには60Sとアスリート向けヘッド、スライサーの野村タケオさんには50Sとアベレージ向けのヘッドの組み合わせを中心に打ち比べてもらった。

果たして、2人がもっとも安定して飛ばせる組み合わせとは?

NOMURA'S IMPRESSION

野村タケオのBest Combination 1

いちばん結果が良かったのは、ディアマナBFシリーズ 50SとPRGR RSの組み合わせ。自分で意識的にボールをつかまえにいかなくても、ストレートからつかまったフェードを安定して打つことができました。

バックスピン量も普段の自分より1000回転ぐらいは軽く減っているし、飛距離も10ヤード以上は確実に飛んでいます。いつもの右にギューンと曲がる球が出ないので、安心して気持ちよく振れましたね。

野村タケオのBest Combination 2

50SとXR16の組み合わせも、ボールがしっかりつかまってくれて、飛距離が出ました。正直、歴代のディアマナ“青シリーズ”は、少しボールがつかまりにくい印象があったんです。
でも、新しいBFはつかまりの良いヘッドと組み合わせれば、万年スライサーの僕でもストレートボールやつかまったフェードが打てちゃいました。

マーク金井さんの解説

今回、ディアマナBFシリーズと組み合わせた5メーカー10種類のドライバーヘッドのなかで、もっともボールのつかまり性能が高いのがPRGR RSです。
BF自体は先端側がしっかりしているので、ややつかまりを抑えたシャフトですが、シャフトの挙動がオーソドックスなので、つかまりの良いPRGR RSの性能を素直に引き出してくれています。

それはXR16のヘッドも同様で、ボールがしっかりつかまってくれれば、インパクトでフェースがクローズ方向に動くので、バックスピン量はおのずと減るんです。

ドライバーのバックスピン量が5000回転を超えることもある野村さんでも、つかまり性能の高いヘッドとBFの組み合わせなら、2000回転後半から3000回転前半にバックスピン量を抑えることができました。

球筋がスライスから質の高いフェードになり、バックスピン量が減ったことで、飛距離も格段にアップしましたね。

KANAI'S IMPRESSION

マーク金井のBest Combination 1

フックが持ち球の僕がもっとも嫌うのが左へのミスです。今回打ち比べた10種類のヘッドのなかでは、ボールのつかまりすぎを抑えたZ765のヘッドに60Sの組み合わせが、ぴったりマッチしました。

BF自体も先端がしっかりして、つかまりすぎないシャフトなので、ストレートから軽いドローという理想的な球筋になってくれましたね。

マーク金井のBest Combination 2

直進性の高いPINGのGと60Sの組み合わせも、僕にとっては相性が良いですね。
長い重心距離と深い重心深度で、飛距離と直進性に優れたPING Gのヘッド性能を、BFが素直に引き出しています。

安定性ならZ765と60S、一発の飛びならPING Gと60Sをチョイスしますね。左へのミスを怖がることなく、自分がイメージしたとおりの弾道、球筋で飛んでくれる。

気持ちよく振り切れるから、飛距離も自然と伸びるんです。

マーク金井さんの解説

持ち球が異なる僕と野村さんでベストの組み合わせが重なることなく、真逆の結果になりました。まさにこれがディアマナBFシリーズの特徴を表していると思います。

スライサーの野村さんが良いと感じた組み合わせを、フッカーの僕が打つと、ボールがつかまりすぎてしまい、野村さんが僕のベストチョイスを打つと、ボールがつかまらずに右へ飛んでしまう。
自分に合う組み合わせとそうではない組み合わせでは、飛距離でも15ヤードぐらい差が出てしまいました。

僕が選んだBFとつかまりを抑えたZ765、PING Gのヘッドとの組み合わせは、ドロー〜フックが持ち球で左へのミスを防ぎたい中・上級者、ヘッドスピードが早めのゴルファーにピッタリだと思いますよ。
また、余計な動きがないので、50R/SRといったやさしめのスペックなら、パワーに自信がないゴルファーにもおすすめできます。

RESULT マーク金井さんの総論

ボールをつかまえてくれたり、打ち出しを高くしてくれたりなど、個性を際立たせたシャフトも多いですが、この新しいディアマナBFシリーズは何か特別な仕事をするのではなく、ヘッドが持つ特性をストレートに引き出してくれるシャフトだなぁという印象を強く持ちました。
シャフトが仕事をするというより、タイミングがとりやすいので、スイング自体がスムーズになって自然とヘッドスピードが上がっていく印象です。
パワーや持ち球、スイングの癖など、ゴルファーによってタイプはいろいろありますが、自分に合うヘッドを見つけて、BFと組み合わせれば、理想とするショットが打てて、飛距離も効率よく伸ばしてくれる。

ディアマナシリーズというと、プロや上級者、アスリート向けというイメージが強いですが、一般男性の平均に近いヘッドスピードでスライサーの野村さんが、50g台のBFでスライスが改善され、飛距離アップにも成功しました。

新しいディアマナBFシリーズは、自分のイメージどおりに球筋や弾道をコントロールできる、アスリート向けのシャフトでありながら、打点やスイングが不安定なアベレージクラスまで、幅広い層のゴルファーが使えるシャフトに仕上がっています。