オノフ「黒の力」。襲来！

鹿又芳典（かのまた・よしのり）

クラブフィッター兼クラフトマンでビギナーからプロまで幅広いレベルのゴルファーに最適のアドバイスを送る。クラブの性能を見抜く眼力に長け、スイングとクラブを結びつけたフィッティングには高い評価を得ている。「HOT LIST JAPAN」の特別テスターを務めている。ゴルフショップMAGIC代表。

ゴルフを知っている上級者が構えて、必ず満足する良い顔。10年以上続いているブランドだけあって、ゴルファーが求めているものをよく理解して造り込まれていることが構えた瞬間わかります。打った印象は、とにかく「球が強い」、「初速が速い」ということ。特にミスヒットしたときの飛距離の落ち方の少なさには驚きました。この日は風が強かったんですが、アゲインストの中で打ったホールでも全くボールがめくれ上がらなかった。私の場合、持ち球がフェード系なので、少し抑えようとして逆にスピン量が増えてしまうことがあるんですが、このドライバーに関しては全くなかった。それどころかちょっとヒール目に当たったなと思ったときでさえ、ボールが前に伸びていましたからね。

それからシャフトとのマッチングが素晴らしい！オノフのシャフトの性能の高さにはもともと定評がありますが、このシャフトにはワッグルしたときに全体に張りみたいなものを感じました。硬いという意味ではなく、しっかり全体がしなってくれるイメージ。切り返しからボールに向かっていくときに、動き方が素直で非常にタイミングが取りやすかったですね。ヘッドの機能とシャフトの機能が上手く融合して、最高にバランスの良いドライバーに仕上がっています。

デザインの格好良さは、さすがオノフと思わせるものです。シンプルなデザインなのに、構えたときにちゃんと安心感がある。ビギナーが構えやすく感じるのはもちろんですが、上級者の感覚をも満足させる、見事な仕上げになっています。
このアイアンの最も特徴的な部分が番手毎に重心位置を変化させている点です。アイアンというのは番手毎に求められる球筋、球質は異なるわけです。それをソール部分のタングステンでコントロールしているので、必要な場面で打ちたい球をきっちり打たせてくれるアイアンです。またバックフェースのオーマークの向きによってウエイト位置を変えているところは、デザイン性と機能性の両方を兼ね添えたオノフらしいこだわりと言えます。

打った感触は、打感が良く、それでいて心地良い弾きがあるので、楽にボールの高さを出すことができます。ただ単に飛ぶアイアンではなく、球筋を作ることができるアイアンです。ドライバー同様、シャフトとのマッチングが素晴らしく、全ての番手を同じタイミングで打てる。当然、ミスショットの確率は減ります。

フェアウェイウッドは本当に衝撃的でした。コース内で３番ウッドを試しましたが、３番ウッドというのは自分の中で振り切れる限界のクラブという位置づけ。だから当然ミスヒットも増えるわけですが、この３番ウッドは、下目に当たってもしっかり３番ウッドで欲しい打ち出し角を確保できるんです。また、ヒール目やトゥ寄りに当たっても、高さと飛距離が出てくれるのは、アマチュアには最高に嬉しい機能です。５番ウッドや７番ウッドも傾斜やラフから試しましたが、同じくミスヒットに強い。

その大きな要因になっているのがソール形状のカットの仕方でしょう。アドレスしたときにピタっと地面のライに吸い付く感じがあって、さらにインパクトの瞬間、ヘッドが加速する感じがあるんです。通常、長さのあるクラブは振りにくくなるので、ちょっとした入射のミスで地面の抵抗に負けて減速してしまうんですが、このシリーズのフェアウェイウッドは、減速感がない分逆に加速する感じがするんです。振り抜きが強烈に良い！だからどんなライからでも高さと飛距離を出すことができるわけです。

最近はユーティリティのバリエーションが増えたことで、ロングアイアンを入れずにユーティリティというのはアマチュアだけでなくプロの間でも当たり前になっています。そこで難しくなるのが、ドライバーからフェアウェイウッド、アイアンと流れていく中で繫ぎ目となる「ユーティリティの選び方」です。万能クラブなはずなのに、意外と打ちこなせないアマチュアが多いのは、セットの流れを無視したユーティリティを選んでいるからです。今回のKUROシリーズは、ドライバーからアイアンまでの流れが非常に良く、どのクラブでも同じタイミングでボールにコンタクトできるのが特徴です。その大きな役割を担っているのがユーティリティです。KUROシリーズのユーティリティは機能的にはウッド系なんですが、長さ的にはアイアン寄りで、とにかく振りやすいクラブです。構えたときにアイアンのトップブレードをイメージさせるフォルムは、スイングのイメージを固めさせてくれる効果があります。また球の高さをコントロールしやすく、今日のような風の強い日でもライン出ししやすい印象を持ちました。

ゴルフ歴が長いベテランゴルファーほど、球に対する要求というものは高くなっていくものです。今回のKUROシリーズはそんなゴルフを良く知るゴルファーにこそ使ってもらいたいクラブ。手にした瞬間、きっと“黒の力”を感じるはずですよ。

Head =鍛造6-4Tiフェース,BF341Ti薄肉精密鍛造ボディ,純Tiネック, アルミ合金ジョイントホーゼル
Shaft =SMOOTH KICK MP-615D
Grip =ONOFF ツアーベルベットラバー 47B

Head =ハイマレージングプラスフェース,17-4PHステンレスボディ
Shaft =SMOOTH KICK MP-615F
Grip =ONOFF ツアーベルベットラバー 47B

Head =ハイマレージングプラスフェース,17-4PHステンレスボディ
Shaft =・SMOOTH KICK MP-715I・N.S.PRO 950GH
Grip =ONOFF ツアーベルベットラバー 52B

Head＝I＃3～＃7・軟鉄（S20C）鍛造+タングステン合金
　　　 I＃8～PW・軟鉄（S20C）鍛造
Shaft =・SMOOTH KICK MP-715I・N.S.PRO 950GH・Dynamic Gold
Grip =ONOFF ツアーベルベットラバー 52B