最終更新日 2006年11月28日

何でボールの表面には凸凹があるの?
ディンプルのスタートは傷入りボールにあった!?
19世紀から20世紀初めの頃のボールは、ただのゴムや樹脂の塊だったんです。 ところがある時、使っていけば使っていくほどボールが飛ぶ、という変な現象に気が付いた。 ようは「ボールの表面に傷が付いているほうが飛ぶじゃないか!」ということが分かったんです。 じゃあ、最初から傷を付けよう、ということで一直線の傷を縦と横に、網目のように付けた。 それがボールの表面にある凸凹、ディンプルのはじまりだった。その後、より飛ばすためには「どういう傷がいいのか」、 「どういう凹みが弾道にとってプラスになるのか」ということを色々やってきた。 それが現在のディンプルの数・深さ・大きさなどに繋がってきているんです。
ディンプルが無いとボールは飛ばない!?
仮に表面にディンプルが無いツルツルのボールをドライバーでアベレージクラスの人が打ったとします。 すると、通常の約半分程度も飛ばないんですよ。 ディンプルの役目は“弾道をコントロールすること”なんですが、ディンプルの形状でインパクト直後の初速・打ち出し角・スピン(初期条件)が変わることありません。 第2話でボールは飛ばすために「初期条件の最適化を求めてきた」とお話しました。 ですが、インパクト後「どういう弾道になるのか」というところはディンプルで決まる要素が大きいんです。 ボールを飛ばすための役割分担で言うと、打たれる瞬間は内部(カバー、ミッド、コア)の役割で、その後はディンプルが役割を担当していると思って下さい。 ボールは空気を切り裂くように飛んでいくわけですが、このとき切り裂かれた空気は、ボールに絡みつく様に回り込みながら、ボールの後ろへと抜けて行く。 飛行機の翼の場合はできるだけ空気の流れを乱さないように流線型をしていますが、ゴルフボールの場合は球体のため後方に真空に近い低圧部が出来ます。 この低圧部が、遠くへ飛ぼうとするボールを進行方向に対し後ろへ引き戻そうとする(抗力)。 そこでディンプルの登場です。ディンプルがあることで、空気の流れがボール表面に沿ってなじむように回り込み、低圧部を小さくすることができる。 そのため、ボールを引き戻そうとする「抗力」が弱まり、ボールスピードが持続し、遠くへ飛びやすくなるというわけです。
どんなボールにもマッチするベストなディンプルはない
各メーカーから様々なディンプルが商品化されていますが、例えば『ディンプルの数は多い方がよく飛ぶ』とか、 逆に『少ない方が球が上がって飛ぶんだ』とか一概に言い切れるものではありません。 結論から言うと、どんなボールにも合うベストなディンプルはありません。 先に、飛びの初期条件を決めるのはボールの内部構造で、ディンプルの役目は弾道コントロールだというお話をしました。 最終的な飛びは、初期条件(初速・打ち出し角・スピン)プラス弾道で決まるのですから、 最適なディンプルの形状は求める性能によっても変わってきますし、ボールの中身(素材・構造)との組み合わせでも変わってくるわけです。 例えばヘッドスピードが遅めのゴルファーの場合、とにかくキャリーや滞空時間を長くして飛ばすことが重要になりますが、 中身でも球を上がりやすく設計し、さらにディンプルでも弾道が高くなるよう設計します。中身とディンプルが、 それぞれの良さや持ち味を高め合うような組み合わせがベストです。 もちろん、ある程度はデータで分かってきています。例えばディンプルの大きさ・深さ・形、中身の性能がまったく同じボールで、 ディンプルの数だけを減らしていくと、少なくなるにつれボールが上がりやすくなってくる。他にも浅くなると高弾道になる、 というように形状の傾向はあったりします。今のボールは打ち出し直後から高い角度で上がり、 着地付近では球を持ち上げる力(揚力)を大きくしてもう一伸びさせるというのがトレンドです。 これは、スキージャンプで、K点越えのジャンプが着地の前になかなか落下せずスーッと距離を伸ばすようなイメージです。
初速が制限される中、「ディンプルで飛ばす」ことがますます重要に
第2話の中で、公認球の規格でボール初速に制限があることをお話しました。またクラブの方でも反発規制によりボール初速が出しにくくなってきています。 こうした制限の中でいかに飛ばすかを考えた場合、弾道をコントロールするディンプルの役割が今後ますます重要になってくるでしょうね。 現在、ディンプルの開発設計にはスーパーコンピュータによる最先端のシミュレーション技術が多用されています。 無論「実験=実際に飛ばす」いうことも必要なんですけど、風向きや風速など気象条件は時々刻々と変化する。 だから風速、ボールスピード、打ち出し条件など、飛ばした時の種々の条件をインプットし、 実際に飛ばした時と同じような条件をコンピュータの中でシミュレーションさせる。 そうすることで、ディンプルのわずかな違いによる空力特性の変化や飛びとの関係を解明していってます。 ドライバーショット時の、時速250km/hかつ3000回転という「高速回転をしながら高速飛行」するゴルフボールにおける空力の難しさは、 飛行機や自動車の比ではありません。だからディンプルは本当にパズルの世界なんですよ。 これを変えたらどうなる、そうすると他の性能が落ちる……というように。それだけ奥が深いんです。
  写真を見てもわかるようにフライパン型は「エッジがシャープ」、「ディンプルが大きい」、「底面が浅くフラット」という特徴がある。 ディンプルの大きさ(直径)は中華鍋型の1.4倍の大きさだ。一方、ディンプルの数は減っている。 中華鍋型は大小4種類の390個に対し、フライパン型では大小7種類の294個になっている(ディンプルの数は少ないボールで300個前後、多いボールでは400〜500個)。 このようにディンプルはいろいろな要素を考えて設計されている。  
profile
平野 敦嗣
SRIスポーツ(株)ゴルフ営業部 販促・宣伝担当
1999年から2002年までダンロップゴルフボールの販売企画に携わり、その後「もっとエンドユーザーの方にゴルフボールの魅力を広めたい」との理由から2003年“ボールのソムリエ"として店頭販売の仕事に就く。
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