最終更新日 2006年10月17日

ボールが進化した“理由”
なにを求めて変化したのか?

ボールは少しでも遠くへ飛ばすために、初期条件の最適化を求めて進化してきました。この初期条件とは「初速」「打ち出し角」「スピン」の3要素です。まず、初速とはボールを打ったときのスピードのこと。最初に大きく勢いをつけたほうが遠くに飛ばせる、ようは速ければ飛距離がでるという考え方です。ただ、そのスピードはボールの反発性能によって大きく左右されます。例えばお豆腐でできているボールを打ったとしても飛びませんよね。それと一緒で、ボールは硬くして反発を高めるほど速度は上がるのです。ただ、公認球の規格で初速の上限に規制があったり、硬くすることで飛びにマイナスとなる余分なスピンまで増やしてしまうことも。従ってボールの飛びの進化は、硬くしても余分なスピンが増えない、逆に軟らかくても反発が落ちないための進化を重ねてきました。

慣性モーメントにもとづく進化。

反発を上げて余分なスピンを増やさない、進化の一例として開発されたボールもあります。コマを回すとしましょう。そのとき、同じ形で「軽いコマ」と「重いコマ」を比べた場合、重い方が回しにくいじゃないですか。ようは重心が外側にある方が物体は回転しにくい。その理論を応用し、1996年、中間層(カバー部分の内側の層)にタングステンという重い金属のパウダーを練りこんだ「メタルミックス」というボールを開発しました。ボールは重い方が風の影響を受けにくく飛ぶため、公認球の規格で重量の上限が規制されています。ですが、ルールぎりぎりの重さの中でボールの外側を重くし、内側を軽くしてあげればドライバーショットでの余分なスピンがかかりにくくなる。つまり「高打ち出し」「低スピン」になりやすいというわけです。打ち出し角とは、打ったときの球が飛び出す角度のことなのですが、角度が大きすぎても、小さすぎても飛距離が落ちます野球でも同じ力でボールを投げたら、低く投げた方が早く落下してしまいますよね。スピンはボールの回転、ドライバーで打ってもボールはバックスピンしながら飛び出すんです。よく「ドライバーでスピンを押さえると飛ぶ!」と言われていますが、バックスピンが掛からないとボールはフォークボールのように落下します。バックスピンは揚力を与え、飛距離を伸ばしますが、多すぎるバックスピンはボールを吹き上がらせてしまいます。つまり、バックスピンを押さえるとは、「吹き上がらない程度に押さえる」ということなんですね。まあ、究極はボールの一番外側にタングステンを入れればいいのですが、タングステンは黒いのでボールが真っ黒になってしまう。だから中間層に入れることにしたというわけです。

飛びとスピン性能を求めて。

これからの進化の鍵はカバー部分をどれぐらい薄く造れるかでしょうね。プロや上級者が満足するボールというのは「ドライバーで飛んでアプローチで止まる」、そんな性能です。その両立を求めカバー部分の素材も進化してきているんですよ。アプローチでのスピン量は、ボールとクラブフェースの摩擦による影響がもっとも大きい。つまりクラブフェースとの接点であるボールのカバー部分は軟らかいほど摩擦が大きくなり、アプローチのスピンが掛かりやすくなります。最近のスピン性能に優れるボールには、カバー部に『ウレタン』を使用しているもの多い。それは、ウレタンという素材が非常に軟らかいためスピンが掛かりやすいからなんですよ。ただ、そのウレタン層が厚くなると、反発が落ちてしまうデメリットも。そのデメリットを克服するために、各メーカーとも「いかにウレタン層を薄く製造できるか」の勝負になってきているんですよ。

  写真はスリクソンZ-URSを実際に切ったもの。一番外側の白いウレタンカバー部分が非常に薄くなっていることがよくわかる。 厚さは0.5ミリ。なんとシャープペンシルの芯の太さと同じなのだ。この薄さが「ドライバーで飛んでアプローチで止まる」を両立させる。  
profile
平野 敦嗣
SRIスポーツ(株)ゴルフ営業部 販促・宣伝担当
1999年から2002年までダンロップゴルフボールの販売企画に携わり、その後「もっとエンドユーザーの方にゴルフボールの魅力を広めたい」との理由から2003年“ボールのソムリエ”として店頭販売の仕事に就く。
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