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ゴルフ野性塾SP

No.262 『グリップの変え方』 9/23更新

グリップ改造ができない・・

「プロはグリップ改造に1年を要する」と聞いたことがあります。私は極端なフックグリップを改造しようと思ってから1年以上経ちました。直りません。練習中もラウンド中も意識しているのですが、ダメです。フックグリップによるチーピン打ちとオサラバしたいのでが、グリップ改造法を教えて下さい。

(青森県・32歳)


まずアドレスを変えることです

グリップだけを直しに行っても直るものではない。グリップを直すには左肩から左グリップ迄を直さなければ直りはしないものです。

そして、フックグリップのスウィングはハンドダウン傾向になりやすいので、アドレス時の姿勢を起こす必要も生じる。ゴルフに於いてはグリップがスウィング全体を型作ります。その認識からグリップ改造を始めるべきでしょう。

貴兄はグリップだけを改造しようとした。その改造は悪戦苦闘の最中。悩み、深まるばかり。貴兄は最初の認識部分で間違えている。グリップ改造するには1にアドレス姿勢を変えるべきです。背筋を起こした方がよい。

2に顎を引いた構えにすればよい。この時点で左ひじを曲げたアドレスか、フックグリップをストレート気味のグリップにしなければ球の打てない感覚が生じてくる筈です。背筋を起こし、顎を引いた構えにするだけで左ひじとグリップは変化を要求して来る。グリップを変えても左サイドは変わらない。

背筋、顎という体の中央部分を変えると左サイドも変わりゃグリップも変わり行く。変化させたけりゃ真ん中ラインを変えなきゃ駄目です。それがスウィング改造の基本中の基本。

貴兄はグリップに変化を求め、グリップから変えようとした。大いなる間違いであった。アドレス時の背筋の角度を変え、顎を引く事で頭の重心位置を変えるのがグリップ改造の最善なる方法。次にアドレス時の左肩を変えて行かねばならない。

フックグリップにはフックグリップに適した左腕筋肉の使いようがあります。貴兄の筋肉はフックグリップに慣れている訳だから、その慣れを解かなきゃいけない。この慣れを解くのが難しい。

開いてるグリップをかぶせるのは簡単だが、かぶってるグリップを開かせるのは難しいのです。慣れの部分が克服し難い。フックグリップは左腕で抑え込む型であり、ストレートグリップは左腕で支え上げる型になる。フックグリップは左手親指と人差し指に力が入りやすく、ストレートグリップは左手小指・薬指・中指に力の入りやすい握りです。どちらも正しい握りだが、ストレート握りに極端はないが、フックグリップには極端が生じます

貴兄のグリップは極端な握り型に走った型であろう。それを正そうとした。そして間違えた。スライスグリップ、ストレートグリップをフックグリップにするのは1週間で出来るが、その逆は10倍の時間を必要とします。

貴兄は1年以上かけている。それはおかしい。4カ月から半年では出来る改造だ。やっぱし、グリップだけを変えに行った間違いであろう。

貴兄はグリップの変われる打ち方をしながらグリップを変えて行くべきでしょう。両足の踵をくっつけたアドレスをして下さい。両のつま先は30度の開き。ティアップしたボールをドライバーで打ってもらう。大きいスウィングは出来ないのでショートスウィングで打てばよい。ボール位置は左足つま先位置。

フックグリップでは打てません。自然と自然と背筋は起き上がり、顎は引け、左肩の位置は高くなり、左グリップの親指と人差し指の作るV字は顎方向を指すようにはなります。

グリップの基本型は左グリップ親指と人差し指の作るV字が顎と右耳の間を指していればよいのだが、貴兄のV字は右肩よりも外を指している様だ。それは行き過ぎの型であり、直したい貴兄の気持ちも分かる。タイミング狂えばチーピン出ますものネ。

タイミング確保するための努力よりはグリップ改造する努力の方が簡単ではある。その選択に間違いはない。改造手段が間違っていただけの事。やり直しは出来ます。6カ月で極端なフックグリップ型はストレート型に変わる

両の踵をピタッとくっつけた打ち方でフックグリップに慣れた筋肉の慣れを解き、新たな慣れを教えてやればよいのです。強振の必要はない。軽く打って行けはよい。

グリップ改造は歯並び矯正と同じ要領。乱杙歯の矯正と同じである。矯正の時間は要ります。歯の矯正にはブリッジを必要とするが、グリップ改造には両の踵をくっつけた打ち方を必要とする。アドレス時の左肩の位置を高めてやる必要はある。そのための両の踵のくっつけ打ちです。

グリップ改造は難しい事と思われて来た。確かにグリップだけを変えて行けば難しい事だった。だがグリップが変化を求める打ち方をすればグリップの改造、実にやさしい事であった。

総てはショートスウィングを見つけてから、その後に発生した改造のひとつの手段。ショートスウィングは宝の山でした。そして、まだまだたくさん、埋まっている。両の踵をくっつけて打つ打ち方はグリップ改造だけでなく、貴兄にタイミングだけで200ヤード飛ばせる打ち方をも教えてくれる筈。お試しあれ。


この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。

つづく
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坂田信弘

京大中退後、ゴルフを目指した異色プロゴルファー。主として週刊ゴルフダイジェストを根拠として漫画の原作、競技観戦記、レッスン書、レッスンビデオなど八面六臂の活躍をしているが、現在は次代のゴルファー育成のため開始したジュニア塾の塾長として脚光を浴びている。スウィング型を作るための「ショートスウィング」を提唱。
 
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