R&Aセミナー開催、テーマは「自然に戻せ」
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2017/04/04号
2017/03/27更新

R&Aセミナー開催
テーマは「自然に戻せ」

 R&A(ロイヤル アンド エーシェント ゴルフクラブ オブ セントアンドリュース)は、日本初のサステナビリティ・セミナー(SS)を開講した。

 サステナビリティとは日本に馴染みがない言葉だが「持続可能なゴルフコース管理・改造」という意。R&Aはゴルフルールを制定し、世界のゴルフを統括する総本山(米国、メキシコは全米ゴルフ協会が統括)。SSはそのR&Aが世界的に取り組んでいる事業で「ゴルフ場と環境・社会との調和と共存、コース改修や維持管理」を広めていく運動のこと。R&Aのあるスコットランドのコースは自然が造ったコース(リンクス)で、メンテナンスといえばグリーン、バンカーぐらい。ところが、人工的にコースを造成する他の国々では広大な土地を使用し、芝の管理に大量の水、肥料、機材、マンパワーを要し、それが環境保全の観点から地域で受け入れられるかどうかは常に問題になるところ。もし受けいれられなければ、ゴルフ場は持続できなくなる。R&Aはそれを危惧しているわけだ。

 コースのオーナー、グリーンキーパー、メディアなど200人を前にR&A役員、コース設計家がサステナビリティの重要性を語った。コースの戦略性に関係ないロケーション(人工滝、見せるだけのバンカー)、ラフを排し地元の雑草などの植生を薦め、成功例としてパインハーストNO2の改造を紹介した。ベン・クレンショーと共に改造したビル・クーアー(日本では横浜CCも改造)は「コースの3分の1くらいのフェアウェイ、ラフを元の荒地に戻した。それだけで管理費、機材が排出するCO2を減らすことができた。ラフがないおかげで全米オープン、全米女子オープンと2週続けて開催できた」と熱弁。

 また、リオ五輪のコースを設計したギル・ハンスは荒地、森をそのまま生かした。「要は人為を過剰に入れるな、リンクスが見本だよと。改造にもリデザイン、改修がありますが、最初の設計に戻すストアがこれからの潮流になるのではないでしょうか」(リオ五輪コースシェイパー、ベンジャミン・ウォレン氏)

 丸1日の長丁場だったが、"これからのゴルフ"が見えてきたセミナーでもあった。

 
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