火種は中国?名門コースウェントワースが訴訟問題にゆれるワケ
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2016/03/01号
2016/02/23更新

火種は中国?名門コースウェントワースが
訴訟問題にゆれるワケ

 1978年、青木功が世界マッチプレーで優勝し、日本でも一躍その名を知られるようになった英国ロンドン郊外にある名門・ウェントワースGCが訴訟問題にゆれている。

ロンドン郊外の名門

 その内容は、経営者である中国のコングロマリット(複合企業)、レインウッドに対して、住民組合がその経営方針を「伝統を破壊している。元に戻すように」として、法的措置に着手したというもの。「住民組合がなぜ」という疑問には同コースの設立から説明が必要だろう。

 1910年、同コースは当時のコース設計第一人者、ハリー・コルトの設計で、コースまわりを分譲地にしてその購買資金でコースを造成というコンセプトで開場。分譲地はみな1千坪を下らない豪邸ばかりが建つが、その購入者がアニュアルメンバー(年次会員)となり、住民組合"と称されるわけだ。ゴルフ史家で英国のゴルフ場に詳しい大塚和徳氏は「純粋メンバーは5人ほどしかおらず、だから経営者が"いいように"やれるという側面がある。今度経営側は年会費を10倍に上げるとか(現在の年会費は非公開だが500万ともいわれる)で、滅茶苦茶。それにアーニー・エルスに改造もさせて、コルトの作品を"改悪"したとみなし、住民組合側は元に戻せと訴えているわけです」と話す。大塚氏は日本企業が経営したターンベリー(現在はあのD・トランプが経営)でマネジャーを務めた経験から「雇用形態もまったく変えず、全英オープン開催のためコースにも手を入れた。伝統的経営を踏襲しなければ問題が起こることは火をみるより明らか。中国籍をもつタイ人がオーナーと聞きましたが、そこの事情を理解していないのでは……」(同)

 レジェンドコースに経済力をつけたゴルフ新興国経営。そもそもそこに火種が転がっていたのだろう。

 
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