米軍コース・泡瀬GC、土地返還後の経済効果
 

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週刊ゴルフダイジェスト 2015/4/14号
2015/4/7更新

米軍コース・泡瀬GC
土地返還後の経済効果

 2010年5月に米軍から返還された泡瀬ゴルフ場。その跡地にGW前の4月25日、「イオンモール沖縄ライカル」がグランドオープンする。

 敷地面積は返還された48 万㎡のうちの17万5000㎡。地上5階で延べ床面積16万㎡に、約400のテナントが出店。約4000台の駐車場スペースを設け、最低でも年間1000万人、最大だと1800万人の集客を見積もっている。もちろん県内最大の商業施設であり、イオンモールとしても初のリゾートモールとなる。観光立県でありながら、これまでショッピング機能が弱かったとされてきた沖縄だけに、話題性豊かな観光資源となることは間違いない。昨年の沖縄への観光客は、円安傾向も手伝い、年間初めて700万人を突破した(沖縄県観光スポーツ部調査)。

 「ゴルフ目当ての自分に対し、やはり女房はショッピング目当て。買い物ができるなら、わざわざハワイまで行く必要もない」(50代男性)というゴルファーも多く、沖縄を訪れるゴルファーも増えそうだ。

 その経済効果について、「2000億円から3000億円」と試算するのは基地問題、沖縄の経済問題に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛経済学部教授だ。「たとえば雇用ひとつをとっても、基地のゴルフ場であった時代はせいぜい50人。それが今回の商業施設では2000?3000人が見込まれています。それだけでも沖縄経済へのインパクトの大きさがわかります。当然、地元は大きく盛り上がっています」と、話す。失業率が全国ワースト1の沖縄だけに、その影響は経済ばかりか、広く社会問題にも波及しそうだ。

「それにしてもゴルフ場の返還が遅すぎました。わたしは返せるところから返してもらおうという意見ですが、米軍は既得権にしがみつきすぎ。もちろん返還されたら、即、住民のために使うべきです」

 とは、自身が日本人初の泡瀬の会員であった作家の伊佐千尋氏だ。今回、跡地が沖縄県民の利益につながることを望みたい。ちなみに当時米軍の伍長であったL・トレビノとの交遊もここから生まれた。

 さて、今回の大規模ショッピングモールのオープンが、今後の基地返還にどのように影響していくのか? この点について前出の前泊教授は、「基地返還をイデオロギーで語る時代の終焉」を指摘する。

「たとえば普天間飛行場は480万㎡ありますが、民間経済を活用すれば1万㎡あたり約2300万円の経済効果があるといわれています。基地であることが、年間1兆円の損失との試算もあり、特に経済界はそうした理由から基地問題を考え、行動し始めています」

 沖縄ライカルの成否は、今後の沖縄にとって大きな布石となりそうだ。

 
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