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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/7号
2010/8/30更新

新溝クラブも買えなかった
アラサ―プロが夢のような初V

 8月10~12日に千葉・スカイウェイCCで、『Handa Cup プロミシングゴルファーズトーナメント ~アンダー30~』という試合が行われ、まったく無名の木村彰吾選手(28歳)が優勝した。

 同試合はプロ、アマの資格を問わず、30歳以下の若い選手が、トーナメントの舞台を経験し、世界で通用するプレーヤーへ成長する第一歩に、という主旨で、今年から新設された大会。優勝賞金は500万円と高額だ。

 首位に3打差で3日目の最終日を迎えた木村は、最終18番パー5のイーグルを奪ってトップに並ぶと、同じホールで行われた5人によるプレーオフでまたもイーグルを奪取。まさに劇的な逆転優勝で試合は幕を閉じた。

 大阪府出身で、ゴルフを始めたのは高校でゴルフ部に入ってから。中央学院大学に進学したが3カ月で退学し、18歳で栃木県のゴルフ場で研修生に。

「6年前からお世話になっているのが、今大会の試合会場のスカイウェイCCなんです。有利だとは思ってましたが。奇跡というか、完璧にマグレです」
と謙遜するが、出場選手にはわたり哲也や永野竜太郎、前粟蔵俊太といったレギュラーツアーに参戦する選手も数多くいた。そのマグレでは勝てない面子相手に優勝する実力がありながら、なぜ勝てなかったのか。理由は経済的な問題だ。

「いまでも昼間のキャディの仕事で稼ぐ給料は生活費でほとんど消えちゃいますね。昨年のQTも受験費用がかかるし、実はその頃は新溝規制の適用クラブも持ってなくて断念しました。ミニツアーにも出てますけど、遠征費がないから千葉県内の試合だけ。ツアープロを諦めて、普通の職に就こうと、何度思ったことか」

 そんな彼にとって、所属コース開催で、しかも賞金額の高い今大会は、今年最大のビッグイベントだったとか。
「優勝500万円なんて大会はもちろん初めてだし、ボクにとっては日本オープンに出るぐらいの感覚ですよ。試合前は、とりあえず揃えた新溝適用クラブの代金と、10月から値上げされるタバコを買い溜する賞金は稼ぎたいなって思ってたら、それが優勝ですから。
 クラブ代とタバコ代を差し引いた残りのお金の使い途ですか? パーっといきたいところですが、今後の試合の遠征費に充てます」

 優勝で出場資格を得たチャレンジトーナメント『スリクソンチャレンジ』は、彼にしてみれば、マスターズにも匹敵する。いきなり訪れた人生最大のチャンスを、貧乏生活で培ったハングリー精神でモノにできるか。

 
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