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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/21号
2009/7/10更新
2010年導入「溝」の新ルールめぐって
PGA、USGA水面下の戦いの顛末

 一般のアマチュアプレーヤーには、まだ関係がないために、無関心の向きも多いと思うが、来年1月からツアーで施行が予定されていたアイアン、ウェッジの新角溝ルールが、米ツアーの水面下で大きな問題となっていた。いったい何が起きていたのか。


新ルールの溝はウェッジだけでなく、ロフト25度以上のクラブも影響を受ける

 USGAとR&Aが、ラフからスピンのかかるボールが打てるクラブに制限を加えるために、07年2月に提案を行い、昨年8月に新規制を発表した「新溝ルール」。

 具体的には、ロフトが25度以上のクラブの溝の断面積を制限するのと、溝の縁に丸みを帯びさせようとするものだが、来年1月以降製造のクラブに新ルールが適用されるほか、1月以降プロツアーなどハイレベルな競技ゴルフでの使用が禁止されるというものだ。

 これに対して、米PGAツアーでは、この新ルールの導入を1年延期し、2011年からにしようという動きがあった。

 メーカーによっては、まだ、新ルール適合クラブが出来上がっていないところもあり、多くのプレーヤーから、新ルール適合クラブに慣れる時間が足りないとする苦情が出ていたからだ。

 もっとも、この件に関しては、USGAも弱腰だったのも事実だ。

 昨年のリーマンショック以降、メーカーに余分な負担を強いる新ルールを今の時期に施行するのは、ゴルフ界にとってマイナスになるのではないかという意見が内部でもあったからだ。

 加えて、USGAの男子、女子、シニアのオープンは、来年から施行するとしていたものの、全米アマなどの競技は、当初2014年からの施行ということになっていた上、先の全米オープンでは、「PGAツアーが1年延期するというのなら、来年の全米オープンでも規制しない。ひとつの試合だけが新ルールでやっても意味がない」とジェームス・バーノンUSGA会長は語っていたのだ。

 こうした姿勢にプロの間でも新ルール導入反対の声が勢いづいていたのだが、結果はPGAツアーのT・フィンチェムコミッショナーの「私たちの意図は、前に進むことで、新たな条件を2010年の1月1日から採用する」という鶴の一声で決まってしまったのだ。

 一度決定されてしまえば、くすぶっていた反対の声も尻すぼみとなり、タイガー・ウッズなどの、「素晴らしいことだ。こうした決定が行われることはすでにわかっており、私たちには十分に調整する時間があった」という歓迎の声ばかり聞こえてくる。

 日本のツアーでもこの溝規制が来年1月から行われる予定だが、ボーケイデザインなど、人気ウェッジを抱えるタイトリストでは、「アイアンに関してはすでに製品化されているが、新ルール適合のウェッジを選手に渡せるのは、秋になる」(タイトリスト・若林桂マーケティングマネジャー)という。

 ルール適合のクラブに慣れる時間差が、来年の選手の成績に影響が出るのかどうかが気になるところだ。

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