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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/28号
2006/11/14更新
初のプレーオフ形式で優勝100万ドルの
米女子ツアー最終戦。勝つのは誰?

 いよいよゴルフ界初のプレーオフがこの16日より始まる。日本ではあまり知られていないかもしれないが、米LPGAの最終戦ADT選手権のことだ。プレーオフというと、優勝者を決めるためにタイスコアの選手が、争うことを思い浮かべるかもしれないが、ADT選手権は、今シーズンのチャンピオンを決めるためのプレーオフだ。


約1カ月、試合から遠ざかっていたオチョア。これが吉と出るか?

 米男子ツアーの方では、来年からシーズン終わりの4試合を、野球の日本シリーズやワールドシリーズのようなプレーオフを行うことが決まっているが、女子ツアーは、これに先駆けて、1試合だけだが、ADT選手権をプレーオフにして、「シーズンチャンピオン」を決めようというものなのだ。

「すべての試合が、ADT選手権のエキサイティングな結末を迎えるためのパズルの一部分になっている」と語ったのは、LPGAのキャロリン・ビベンスコミッショナーだが、この試合が通常の試合と異なるのは、第一に、その参戦資格にある。

 1年のシーズンを前半と後半にわけ、それぞれ15名ずつ、各試合上位20名に与えられる獲得ポイントで、合計30名のプレーヤーに出場資格が与えられるというもの。加えて、ワイルドカード(特別枠)として2名。選にもれたプレーヤーから賞金ランキングなどを参考に選ばれるというもの。ちなみに宮里藍は、この特別枠で、参戦が決まっている。

 今大会、驚くのはこれだけではない。「ゴルフ界初めてのプレーオフシステムに係ることができた上、なんと言っても、女子ゴルフ界最大の優勝賞金に、興奮している」とADTのJ・スタック副社長が語るように、なんと優勝賞金は100万ドル(約1億1800万円)。通常の試合の優勝賞金は20~30万ドルというところだから、普通の試合の3~5試合分に相当する金額が、優勝者に与えられ、これによって、今年の賞金女王が決定する。

 さらに、この試合には、2回の予選カットがあり、36ホールで半分のプレーヤー16名が脱落し、54ホールで、さらに半分の8名がカットされる。そして、残り8名のプレーヤーが、54ホールまでのスコアを無視して、最終日18ホールのストロークプレーで、勝者を決めるという仕組みになっている。

 ちなみに優勝賞金は100万ドルだが、2位の賞金はその10分の1の10万ドル。3位となると2万5000ドルとなることから、最終ホールでの、パットの1ストロークの違いが、90万ドル、1億円の違いになる可能性も、十分に秘めているのだ。

 今季5勝しているロレーナ・オチョアが、234万ドル(小数点以下四捨五入)で、現在賞金ランキングのトップを独走しているが、2位にはK・ウェブが207万ドル、3位にはA・ソレンスタムが196万ドル、4位にはクリスティ・カーが154万ドルで追っているという状況(11月5日現在)

 つまり、ADTで、この4人の誰かが優勝すれば、賞金女王になれる、言葉を変えていえば、只今トップのロレーナ・オチョアは、シーズン5勝でも、賞金女王になれない可能性があるというわけだ。

 オチョアはタイ、韓国、日本という海外3連戦を欠場したが、その理由をマネジャー(オチョアスポーツ広報、R・ウエスターホフ)は、「親しい友人の結婚式が重なった」ためで「そのほか、家族と過ごしてリラックスしたり、コマーシャル撮影をしたり、チャリティトーナメントに出ていたりした」と語っているが、その一方で、「コーチのラファエル・アラーコンについて、みっちり練習している」という話も伝わってきている。

 ある意味では、ADTの優勝賞金が100万ドルということで、このまま逃げ切れないと見たオチョアは、慣れない海外の試合を転戦して疲労するよりも、力を温存し、乾坤一擲ADTに賭け、賞金女王の座を獲得しようという作戦なのかもしれない。

 いずれにしても、ADTではスリリングな試合が期待できそうだが、一方、最終戦のしかも最後18ホールで、賞金女王の行方が決まってしまうプレーオフには、批判の声もなくはないのだが……。

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