> 雑誌・出版情報 > BACK 9 WEB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/14号
2006/10/31更新
4日間で36個、イーグル続出した
ブリヂストンオープンのウラ事情

 先々週の男子ツアー、ブリヂストンオープンは手嶋多一が大会記録となる通算22アンダーで優勝した。もともと毎年ロースコアで競われる大会だが、イーグル数が最終日だけで8個、4日間合計36個も出たことには、コースセッティングに一考の要ありとの声も聞かれる。

 ブリヂストンオープン(BSオープン)の優勝スコア、22アンダーは東建ホームメイトの21アンダーをしのぐ今季最多アンダー。アンダーが伸びると「バーディラッシュ」という表現がよく使われるが、今回はバーディならぬイーグルも続出した。

 4日間合計で36個。前述・東建ホームメイトこそ31個も記録したが、最近の平均的な優勝スコアである14アンダーで決まったアコムインターナショナルは16個、同じく14アンダーのサントリーオープンはわずか7個しかイーグルは生まれていない。

 また、手嶋の今季イーグル数はそれまでわずか1個だったのが、今回、一試合で3個も奪取した。1番(441ヤード、パー4)の他は、16番(541ヤード)と18番(569ヤード)のパー5でのイーグルだが、この18番では4日間で14個ものイーグルが飛び出している。

 手嶋はツアーの中では、どちらかというと飛ばない選手。それが3イーグルの荒稼ぎである。セッティングに問題があったのではと勘ぐりたくもなる。

「一般論ですが、今はフェアウェイウッドやユーティリティの進化により、第2打でグリーンを狙える距離は、飛ばし屋も飛ばない選手もほとんど差がなくなりました。フェアウェイキープ率が高く、かつアプローチやパッティングが巧みな選手にもイーグルチャンスが生まれるようになったということでしょう」と語るのはクラブに詳しいチームヨシムラ・吉村忠義氏。

 実際、ツアーのイーグル率ランキングを見ると、トップの井上信をはじめ、田島創志、深堀圭一郎といった飛距離で劣る選手が上位に並んでおり、ツアー全体にイーグルの可能性が高まっていることは確かなようだ。

 だからといって、「イーグルの価値が下がる」とは言えないが、大会主催者や日本ゴルフツアー機構、あるいはコース関係者からは「もっとタフに」といった声は挙がっていないのだろうか。

 これには、「コースセッティングは当社の管轄ではないので何もいえませんし、問題にはなっていません」(ブリヂストンスポーツ大会事務局)

 ツアー機構も、「コースレイアウトの他、芝の状態や天候など様々な要素を考慮して、選手たちの最高のプレーを引き出せるセッティングを施した結果のスコアなので問題にはなっていません」としたうえで、セッティングをタフにすることについては、「一般営業をしているコースをお借りしているので」と、限界があることは認める。

 では、舞台となった袖ケ浦CCはどう感じているのだろう。例えば、会員の間から「易しいコースと思われるのは心外」といった不満はないのだろうか?

 古い話だが、埼玉・東松山CCでは、87年のマルマンオープンで24アンダーというとてつもない優勝スコアが記録され、会員からもうちのコースはこんなに易しくないとブーイングが起こり、翌年はパー72から71へと変更された。

 だが、袖ケ浦CCに確認したところ、「今のところ、そうした声は届いてません。イーグルといっても569ヤードのホールでも出ているわけで、易しいコースだからとは思われないでしょう。今年は青天続きで、ラフが予定した深さにならなかったせいもありましたし……」といった返事が返ってきた。

 BSオープンは過去にも21アンダーの優勝スコアが出ており、ロースコアの展開は≪大会のカラー≫なのかもしれない。

 ところで、セッティングを思い切ってタフにすることについてだが、あるツアー関係者は「選手会からの反発を考慮すると変えづらいという面がある」と実情を語る。

「ある大会で、パー5では易し過ぎるホールをパー4にした結果、ティショットで確実にフェアウェイをとらえるクラブを選択すると、第2打が220~230ヤードにもなってしまったため、選手側から猛反発が出たことがありました」

 以来、ツアー機構側も及び腰なのだという。

 また、「タフにすると、今はあえて冒険をしない選手が多く、全体にパー狙いの、波乱の少ない展開になりがち。それでは主催者側にも喜ばれないので……」という話もある。どうやら背景には、簡単には解決できない事情があるようだ。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です