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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/31号
2006/1017更新
東京ドームのゴルフ場撤退で新たな争奪戦勃発。
どうなる系列の5コース

 東京ドームがゴルフ場事業からの撤退を決め、系列5コースを来年4月をメドに売却する方針を明らかにした。東京ドームは札幌後楽園CC、馬頭後楽園Gコース&ホテル、水戸後楽園CC、市原後楽園G&スポーツ、それに城島後楽園CCの合計5コースを経営している。歴史あるゴルフ場も多く、行方を追った。

 札幌後楽園では個人、法人合わせて984口、城島後楽園では501口の会員権が発行されている。残るパブリック3コースには、いずれも04年1月までは、≪TPC≫の冠が付いていた。

 最初に冠付きになった馬頭後楽園は、オープン5カ月前の89年1月に米国PGAツアーと契約、米国男子プロツアーを統括するPGAツアーがコースの設計・監修にあたり、トーナメント会場としての機能を配備し、89年5月にオープン。日本初の冠コースの誕生だっただけに、当時はかなりの話題になった。

「米国ならTPCの冠が付いたコースは実際にツアーが開催されるから、知名度向上にはもってこいだが、日本ではツアーが開催されることはない。TPCと聞いて何のことかわからないゴルファーもいたから、冠使用料の負担に耐えるほどの集客効果が上がったかどうかは疑問」(ゴルフ場業界関係者)などと揶揄されていた。

 今回のゴルフ場事業からの撤退決定の原因は、東京ドームの本業中の本業であるドームシティに経営資源を集中投下したいからだ。

 東京ドームは野球場や遊園地、ホテルといった装置産業なだけに、装置作りとメンテナンスのための莫大な資金が常に必要になる。

 このため、今年7月の中間決算期末時点の借金は、年商の3倍近い2847億円。しかも過去2年半、不採算事業を整理し、借金返済に努めて、500億円以上減らした結果がこの額。まだまだ手をゆるめられる状況にはない。

 不採算と判断した事業は売却して現金化する、という方針に基づいた判断が、今回のゴルフ場事業からの撤退ということだろう。

 2月決算の東京ドームは、今年3月末決算分から減損が義務化された3月決算企業から11カ月遅れの、来年2月末決算分から減損が義務化される。このため、9月28日に発表された中間決算では、年度末を待たずにゴルフ場やスキー場、ホテルなどで総額400億円近い減損を実施したほか、消費者金融に資金を卸す卸金融からの撤退関連の特別損失約700億円も計上した結果、1000億円近い赤字になっている。

 ただし、減損はあくまで帳簿上の簿価を引き下げる処理にすぎないので、会計上は巨額の赤字でも、税務申告上の損金処理はさせてもらえず、赤字なのに税金は払わなければならない。

 が、第三者に売却すれば損失が確定するので、税務上損金処理が可能になる上、売却代金の形でキャッシュが入ってくる。

ところで売却先だけでなく、5コースワンセットなのか、あるいはバラ売りなのか、さらには預託金の扱いも気になるところ。

 メンバーシップ2コースの預託金総額は「公表していない」(東京ドーム)が、決算書を見る限り、さほど多くはなさそう。

 従って、実質売却代金から預託金相当部分を差し引いて返還債務を引き継いでもらう方法もあれば、東京ドームが全額返還してパブリックで売却する方法など、様々な方法が考えられる。

 だが「来年春頃をメドに売却先候補の意向を聞きながら決めていく」(東京ドーム)として具体的なことはノーコメント。

 今回、ゴルフ場からの撤退と同時に、東京ドームは消費者金融業者に資金を貸し付ける卸金融子会社の後楽園ファイナンスを、ローンスターグループ(以下、LS)に売却することを明らかにしている。

 LSが5年前に買収した旧東京相和銀行は≪消費者金融のメインバンク≫との異名をとったほど。後楽園ファイナンスの卸先の消費者金融会社と顧客がダブるケースも多いなど、東京ドームとLSは縁が深い。

 となると、売却先もLSが最有力? と考えたくなるのが人情だが、交渉中の相手先についても当然ノーコメント。いずれにしても会員の扱いには相当の配慮を願うところだ。

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