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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/22・29号
2006/8/8更新
海の向こうでもプロ協会がゴタゴタ、
米LPGA会長に叛旗、理事が大挙辞任

 日本では「PGA理事拉致問題」が騒がしいが、海の向こうアメリカでも急進改革派の新コミッショナーの采配をめぐってのゴタゴタ問題が噴出している。米LPGA内部の理事、スタッフ大挙辞任問題を追った。

 実は、先の7月、LPGAは来年から新たに始まる2試合を矢継ぎ早に発表。さらに9月のジョンQ・ハモンズクラシックがアーカンソー州に移り、同州では過去50年で初めて、女子の試合が開催されることが明らかになった。

 新規に開催される試合というのは、5月下旬から6月にかけてのジン・トリビュートと秋のナビスターLPGAクラシック。

 このニュース自体は、うれしい話で、まだ6月に2週間、7月にも2週間のアキのあるLPGAとしては、「これほどLPGAのプレーヤーたちの才能と個性に幅と深さがある時期はない」(キャロリン・ビベンスLPGAコミッショナー)ということで、ミッシェル・ウィやアニカ・ソレンスタムの人気に乗じて、新らしい試合をさらに増やす方針とか。

 しかしその陰で、なんと全試合の約3分の1に当る11試合のスポンサーが、来年ごっそり、LPGAから手を引くなどという話も出ているのだ。

 ことの発端は、LPGAが、トーナメントのスポンサーに対して、1試合当たり10万ドルのスポンサー協力金を要求したことに始まっている。

 これ以前にも、LPGAは、試合の電光掲示板のリース料6万8000ドルの半額を負担していたが、これを打ち切ることを発表。つまりは、単純計算でも、スポンサーは13万4000ドルの負担増ということになるのだ。

 もちろん、こうした金額を支払えない小さな会社のスポンサーもあることにはあるが、金額の問題というよりも、ビベンス・コミッショナーが、根回しも不十分なままに、突然こうした改革を矢継ぎ早に行い、それにスポンサーが反発して、具体的には11試合が、この10万ドルの協力金の支払いと来年のスポンサー契約の更新を拒否しているのだ。

 あるスポンサーに言わせると「20年以上も、LPGAが苦しい時も協力してきたのに、これはあまりにもひどいやり方」と憤慨すれば、新コミッショナーは、「古い顧客だからといって、正当な市場価格を支払わなくても良いというわけではない」と真っ向から対立している。

 7月に発表された新たな2試合は、コミッショナーにすれば、「LPGAの市場価値は、現状よりもっと高い」ということの証明で、協力金を支払わなければ、試合は無くなるという脅し(?)の意味も含まれていたようなのだ。

 昨年9月にビベンス女史がコミッショナーに就任して以来、性急で強気な改革のために、LPGA内部でも、混乱をきたしており、先の6月には、副会長を含めた理事3人が辞職し、1年間で、60人のスタッフの内、13人が辞めるという事態になっている。

 今年の初めには、LPGAの試合で撮影された写真の肖像権は、LPGAに帰属すると突然発表し、APを始め米マスコミが、トーナメントの取材拒否を行うという事件があるなど、何かと新コミッショナーに対する批判の声が多いのも事実だ。

 ある意味では、男子のPGAに比べて、賞金やTV放映権料など、大きく差をつけられているLPGAにすれば、宮里やウィ、ポーラ・クリーマーなどの人気を梃子に、組織を改革する絶好のチャンスになっているといえるのかもしれないが、あまりに早急な改革のために、周りがついてこられない状況になっているといえるだろう。

 トーナメントのスポンサーが折れて、10万ドルを支払うのか、あるいはコミッショナーが辞めるのか? 現段階では、来年の試合数が大幅減にならないようにするためには、2者選択するしかない状況にまで、追い込まれているようだ。

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