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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 5/30号
2006/5/17更新
男子ツアー挑戦8戦目で予選通過したウィ
マスターズ出場に賭ける16歳少女のシナリオ

 男子ツアー挑戦8試合目でついにミッシェル・ウィが予選突破を果たした。舞台はアジアンツアー、SKテレコムオープン。ハワイ生まれの韓国人2世であるウィにとっては、両親の出身地であり、祖父母がいる地での快挙で、夢のマスターズ出場、男子ツアーへの本格的進出と、今後への可能性が限りなく広がった。


夢に向かって邁進中

 地元、ハワイのソニー・オープンを始めとする米ツアー、日本ツアー、ネーションワイドツアーなどで何度かチャンスがあった男子の大会での予選通過は、もはや時間の問題といわれていたが、ついにこの壁を乗り越えたことでウィ本人も「ひとつ上にステージに上がった」とコメントしている。

 だが、54ホールに短縮された同大会では最終日にオーバーパーを叩き「(次の男子ツアー出場までに)アイアンショットを練習しなくちゃ」と、課題も発見。すでに克服へと動き始めている。

 次の男子ツアー参戦はジョンディア・クラシック(7月13~16日)だが、その前に女子のメジャー第2戦、全米女子プロ(6月8~11日)が控えているのを忘れるわけにはいかない。

 大目標はマスターズ出場。天才少女の名が世界に知られるようになったときから公言してはばからないウィだが、その前のステップとして男子ツアーの予選通過と女子ツアー優勝の2つがあった。

 アジアンツアーとはいえ、そのうち1つはかなえられ、女子ツアーではアマチュア時代からメジャーの舞台で何度も優勝争いを演じているだけに、こちらも時間の問題と見られている。

 ところでゴルフツアーがグローバル化し、世界中を駆け巡る選手が増えたことでワールドランキング(女子はロレックスランキング)などが制定され、相互のレベルアップを図っているのは周知の通りだが、それでもウィのように男女両ツアーにまたがってプレーする選手はこれまでほとんどいなかった。

 もちろんコロニアルのアニカ・ソレンスタムや韓国ツアーのパク・セリ、豪州ツアーのローラ・デービース、日本、アジア両ツアー共催のアジア・沖縄オープンに出場した宮里藍など男子ツアーに女子が参戦して話題となることはあってもいずれも一時的なものでウィとは趣を異にする。

 そのため、当然といえば当然のことなのだが、女子ツアーでの実績は決してメジャーも含めた男子ツアーへ出場資格につながらず、推薦出場以外は予選やマンデーなどからコツコツと出場権を勝ち取らなくてはいけないということだ。

 ウィが男子のメジャーの第一目標に定めた、門戸の広い全米オープンを例にとってみよう。女子の全米女子オープンには何度も出場しているウィだが、男子では実績がないため、最終予選ではなく地区予選からの挑戦となる。

 現在、ハワイで行われる地区予選出場を予定しており、これを突破すれば5月末から6月始めにかけて行われる最終予選へと進出。これをクリアしなければ本戦の舞台は踏めないという厳しい道のりだ。

 目標のマスターズに出るためにも男子ツアーでの実績は必要だ。特に早いのは他のメジャーで上位に入ること。全米オープンなら8位以内、今年から女子に予選の門戸を開放した全英オープンなら4位以内に入れば翌年のオーガスタ行きが約束されている。

 現役高校生とプロの二足のワラジを履き、試合数がある程度限られているため、ウィが早道のこちらを狙っていることは間違いない。

 前人未踏のステップを一歩、一歩昇ろうとしている16歳の天才少女は、昨年末のプロ転向と時を同じくして明らかになったナイキ、ソニーとの契約金が年間1000万ドル。その後、オメガ、韓国の不動産デベロッパーと2年300万ドルで契約し、経済的には恵まれているがあくまでもハングリーだ。

 パイオニアの宿命として周囲から受ける雑音を力でねじ伏せ、ひたすら高みを目指すことに、16歳の少女はいま、情熱を注いでいる。

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