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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2/28号
2006/2/15更新
ドバイクラシックのプレーオフで惨敗したエルス
「タイガー」というトラウマから抜け出せるのか

 タイガー・ウッズが、またプレーオフを制して2週連続優勝を飾ったヨーロッパツアーのドバイ・デザート・クラシック。今季2戦2勝ということで、アメリカのゴルフファンにとっては大喝采だったが、ビュイック選手権に続いて、このドバイでタイガーに敗れた相手がそれぞれJ・M・オラザバルとアーニー・エルスだけに、欧州勢にとっては憤懣やるかたない、といったところだろう。

 もっともビュイック招待のオラザバルについては、7606ヤードのトーリーパインズGCという距離の長いコースで、よく頑張ったという評価もある。


タイガーには及び腰?


 しかしエルスに関しては、昨年全英オープンの後、膝の手術のために後半戦を棒に振ったものの12月に復帰、地元南アフリカで開催されたダンヒル選手権で優勝したことから、完全復活、新生エルスの期待が大きかった。それだけに、プレーオフでのあっけない終わり方に、がっかりするファンも多かったのだ。

 ドバイ・デザート・クラシックでは、最終日のアウトでエルスが逆転し、一時多タイガーに2打差をつけたが、バック9で最後の18番ホールまでバーディが取れなかった。一方のタイガーは13、17、18番とバーディを奪い、最後になって19アンダーでエルスに並んだ。

 プレーオフ最初のホールとなったパー5の18番は、
「4日間で一つのイーグルと3つのバーディを獲り、あのホールだけで5アンダー。18番のティショットは、このコースの中で一番自分にとっては打ちやすいショットだった」(エルス)
 にもかかわらず、第1打目を林に入れ、2打目で池ポチャという結果になり、あっさり勝負がついてしまった。

 これまでタイガーの勢いをストップ出来るのは、エルスが最有力候補、と思われていた時期があった。というのも『ビッグ・イージー』のニックネームにあるように、エルスはよく言えば、おおらかで、悪く言えば能天気なところがあり、タイガーの存在にもプレッシャーを感じないのではないか、と思われていたからだ。

 しかし、2000年のメルセデス選手権のプレーオフでタイガーに敗れた後、同じ年の全米オープンでの記者会見で、「あれほど正確に、あれほど遠くに打つプレーヤーを見たことがない」とタイガーを評したあたりから、エルスの中に精神的トラウマが出来たように思える。というのも、その後のタイガーとの直接対決では、ほとんど惨敗という有様だからだ。

 そんな事情があったからこそ、03年のプレジデンツカップの最終日に、タイガーに対してエルスをぶつけたキャプテンのゲーリー・プレーヤーの判断に批判の声が上がったのだ。

 このプレジデンツカップでは、結局エルスがタイガーに4&3で敗れ、アメリカチームとヨーロッパチームが引き分けることになったのだが、エルスが他のプレーヤーと当たっていれば、エルスもチームも勝てたのではないか? という訳だ。

 そうしたタイガーに対する苦手意識は、確かにあったのだろうが、昨年の故障によって5カ月の休養をとり、しかも復帰後すぐに優勝したエルスに対する期待の声が多かった。その分、ドバイでのプレーオフの結果に失望する声が聞かれた。

 エルス本人は、まず手術した膝について、「ほとんど完璧になりつつある。調子は悪くない」と言う。

「足の故障で苦労をした後で、今週は世界で最も強いプレーヤーたちが集まった試合で、優勝まであと一歩のところまで来たのだから、文句はない」と敗者の弁を語っている。

 つまりは、まだ完全復活ではないのだから、これからタイガーに勝てるチャンスはある、という意味なのだろう。

 これに対してタイガーは、「これ以上望みようのない結果になったね。2試合続けてのプレーオフは、確かにストレスが溜まったけど、どうにかしてトップで終わることが出来た」と、ニコニコ顔だった。

 2000年頃のように、タイガーが出場するだけで、他のプレーヤーたちがビビッてしまうような「タイガーの第2黄金期」の幕開けかも知れない。

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