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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/13号
2005/9/7更新
預託金償還問題解決への新たな試み
GCゴールドウインが株主会員制へ移行

 スポーツウェア・用品商社のゴールドウイン系列のゴルフ場・GCゴールドウイン(富山)が、9月に株主会員制に移行する。減損処理の強制適用に伴って、上場会社が先送りしてきた系列コースの預託金問題に真剣に取り組む傾向が強まる中、ゴールドウインが選択した方法は親会社がすべてを被るのでも、民事再生を使うのではない、株主会員制だ。

 同GCはゴールドウインの100パーセント子会社であるゴールドウイン開発(以下、G開発)が経営、預託金証書も同社が出しており、今回は正会員一口につき、G開発の株400株を渡すことになっている。

 親会社からの借入金だけで、銀行借入がないG開発は、預託金の株式化が100パーセント完了すると無借金会社になる。

 GCゴールドウインは平成3年10月オープンで、会員数は689名、預託金総額は約50億円。据え置き期間はオープン時ではなく募集開始時点を起点にしていたため、平成11年10月に理事会決議で償還期限を10年延長している

 今回の株主会員制への移行に伴い、ゴールドウイングループは総額56億円の損失を計上するが、実質的な負担は66億円に上る。

 というのも、ゴーウドウイングループは、平成11年の預託金償還期限到来以降、自ら会員権を買い増し、これに約10億円を使っている。

 それに平成18年3月期の連結決算で親会社本体とゴールドウイン開発が保有しているゴルフ場施設について、56億円もの減損処理を実施するからだ。

 親会社単独でも保有している会員権やゴルフ場の敷地を現物出資するほか、13億円の貸付金を出資するが、これで13億円相当の株券をもらえるわけではなく、これに伴って7億8000万円の損失も発生する。

 一方、預託金総額50億円のうちグループ以外の会員保有分は40億円なので、この分が会員が『債権』をあきらめる額になる。

つまり、ゴールドウイングループの負担が66億円、会員が40億円という、負担割合になるわけだ。

 一方、親会社としての会員に対する道義的責任を果たしつつ、なおかつ自らの会社の株主・投資家の利益も守らなければならないのが上場会社。

 ゴールドウイン自体の株主に対してはこの処理で良いのかどうかだが、ゴールドウインの連結決算に与えるダメージは、帳簿上では約半分の35億円に止まる。

ゴールドウインの自己資本は、年商の約半分にあたる、わずか220億円しかない。56億円の減損だけ実施したら164億円、まして50億円の預託金をまるまる被ったら、100億円近くまで減ってしまう。

今回は株主会員制に移行することで、ゴールドウインの持ち株比率が38.4パーセントまで減少、G開発が連結対象からはずれることで預託金債務がまるまる消えるだけでなく、なんと帳簿上のいたずらで34億円の『利益』が出るのだ。

 むろん帳簿上の利益であってキャッシュが入るわけではないが、帳簿上の自己資本減少額は実際の負担の半分で済む。

「ダイワ精工などの上場会社の例や、過去の株主会員制の事例など、相当研究したのでしょう。富山というゴールドウイン自身の地元に作ったゴルフ場だから、そこで民事再生では本業に影響を及ぼしかねない。再生法は避けながら、上場会社としての義務も果たすという点ではかなりバランスがとれている」(ゴルフ場問題に詳しい弁護士)

「預託金償還問題を解決し、(G開発が)無借金会社になることで、会員の権利と財産を守りたい。持ち株比率が下がっても、引き続きゴールドウイン側も経営責任を果たすため、数人の役員を出すが、会員の方からも3~4名入っていただきたいと考えている」(ゴールドウイン広報)という。

 銀行借入がないから出来たとも言えるが、今回のこの案、『親会社の責任の取り方』の事例を作ったことは間違いないだろう。

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