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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/12
2005/7/7更新
阿蘇高森GCなどゴルフ場経営で躓いた
本間ゴルフが民事再生するまでの経緯

 酒田の豪商・本間一族の末裔が創業、高級志向のゴルフクラブメーカーとして知られる本間ゴルフが6月20日民事再生手続きの開始を申し立てた。和歌山のゴルフ場の減損処理を実施すると債務超過に陥ってしまい、債務超過解消の手だてがないことが明らかな中、金融機関から融資引き上げを通告されることは間違いない、というのが直接的な理由だ。

「本間様には及びもはせぬが、せめてなりたや殿様に」と謳われた、酒田の豪商・本間光丘一族の末裔・本間敬啓氏がゴルフ練習場を始めたのは今から47年前の昭和33年。翌年に法人化したのが現在の本間ゴルフである。

 ゴルフクラブの製造を開始したのはその4年後の昭和38年。上級者向け、超高級路線を指向し、バブル期に入りメタルヘッド、カーボンヘッドが主流になっても頑なにパーシモンウッドクラブにこだわり続けたことでも知られる。

 平成7年に株式を店頭公開し、平成9年3月期に過去最高の341億円の売上を計上するが、その後はずるずると下がり続け、平成17年3月期には136億円まで落ち込んでしまった。

「パーシモンへのこだわりがアダになってメタル、カーボンへの転換が遅れた」との指摘もあるが、再生手続き開始申し立てに至った根本的な原因は、多額の借金だった。

 主力工場の酒田工場の増強、本間パブリック和歌山Cの用地取得などで、店頭公開の時点ではすでに200億円の借金を抱えていた。

 当時は約300億円の年商があったので、金利の支払いに困ることはなかったが、バブル崩壊後、一旦凍結していた和歌山のゴルフ場開発を再開したり、直営店を増やしたりで平成9年には借金が300億円に膨らむ。それにトドメを刺したのは、阿蘇高森ゴルフ倶楽部問題だった。

 販売会社が開発した同コースを施工した日本国土開発が「本間の保証があった」と主張し、代金110億円の支払いを本間ゴルフに求めた。

 本間ゴルフ側は当初は争う構えだったが、結局50億円でゴルフ場を引き取ることで和解、しかも40億円の預託金も引き受けたため、実質的には90億円の負担を余儀なくされる。

 借金が454億円に膨らんだ平成10年3月期の年商は335億円。年々年商が下がっていく中、年商を大きく上回る借金との苦闘が始まる。平成13年には消費税法違犯で創業者の本間敬啓氏が起訴され、平成15年に罰金3000万円の判決を受けている。

 阿蘇高森GCは昨年4月に、本間製品の韓国の販売代理店のグループ会社「HONMA佑成」に売却したが、預託金は本間ゴルフが負担する形のままだったため、譲渡金額は5億6000万円。巨額の借金を抜本的に減らすファクトにはなり得なかった。民事再生で「申し訳ないが、預託金は諦めていただくことになると思う」(同社IR)という。

 過去8年の減収の原因については「ブランド力維持のため直営店方式にこだわり、商品のディスカウントをしないため、常に不良在庫を抱え続けてきた」ことを挙げる声もあり、実際、5月下旬に公表された平成17年3月期決算で約30億円、大赤字を出した平成13年3月期決算でも約50億円の在庫評価損失を計上している。

 しかし過去8年で本間ゴルフが返済し続けた借金は200億円にも上る。それらはほとんどすべてがゴルフクラブ用品を売って返したわけで、それだけの収益力とブランド力があるということでもある。

 バブル崩壊以降、ゴルフ用品にお金をかけられるゴルファーが減少するなか、年商が半減しても利益率自体は10年前と変わっていない。

 平成17年3月期決算でも、用具の売上が生み出した営業利益30億円が、本社経費と年間7億円を超える金利負担で消えている。しかし金利負担がなくなるだけで黒字化し、本社経費のカット幅次第で黒字幅は拡大する。

 今後については「すでにスポンサー候補2社と話をしている」(同社IR担当)という。

 本家筋の本間物産は平成2年に会社更生手続きの開始を申し立て、食品スーパー・カウボーイ傘下で昨年2月、更生計画終結にこぎ着けた。『分家』本間ゴルフの早期再建に期待しよう。

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