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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/5
2005/3/30更新
プロの出場料金表まで露見して米ツアーが大騒ぎ
マンデープロアマを巡る関係者たちの言い分
 トッププレーヤーを大会に勢揃いさせるには!? 世界各国のツアーのトーナメント関係者が頭を悩ますこの問題を、お金で解決しようという動きが表面化し、米国で大論争となっている。

 タイガー・ウッズVSフィル・ミケルソンが激しい優勝争いを演じたフォード選手権は、世界ランクトップ10のうち、アーニー・エルスを除く9人が出場する豪華フィールドだった。メジャー並みのメンバーの戦いはテレビ視聴率もよく、世界中のゴルフファンを沸かせた。

 だが、このメンバーが揃った裏には、ある事情が隠されていた。トーナメントウィークの月曜日に、同じフォードがスポンサーのイベントに出場したビジェイ・シン、セルヒオ・ガルシア、レティーフ・グーセン、パドレイグ・ハリントンの4選手に対して合計50万~60万ドルのギャラが支払われていたのだ。

 このことが明らかになるのと前後して、この4人のマネジメントを担当するIMGが、他のトーナメントスポンサーにも同様のイベントを行わないか、という手紙を出していたことが判明。

 しかも、そこにはシン、ガルシア、グーセン、エルス、デーリー、ラブⅢが10万ドル~20万ドル、デビッド・デュバル、トッド・ハミルトン、チャールズ・ハウエルⅢ、マイク・ウィアー、ベン・カーティス、フレッド・カプルス、ジム・フューリックが5万~10万ドルというランク別価格表までついていたからさあ大変。

 ツアー競技におけるアピアランスマネー(ギャラ)を禁止している米ツアー側は「規定に抵触する恐れがある」というEメールをスポンサー達に出して火消しに回るという事態に陥ってしまった。

 もちろん、アピアランスマネーは試合そのものではなく、プロアマ出場という名目で支払われている。そのためIMGは違反ではないと主張しており、違反だというツアーとは正面からぶつかってしまった。

 ところで、こうした週始めのイベントは、米ツアーでは決して珍しいものではない。「シュートアウトやジュニア相手のプロアマやパーティーにお金を払っているケースはかなりあったはず。ただ、ここまで表面化していなかっただけ」(ツアー関係者)という証言どおり、それに出場することでトーナメントにも出ることが暗黙の了解となっている場合が少なくなかった。

 では、今回なぜこんなに大騒ぎになってしまったのか。まず、選手に値段までつけて大々的に宣伝したことが大きな反発を招いたのは事実。IMGは一昨年、創始者でスポーツマネジメントのカリスマ、マーク・マコーマック氏が亡くなった後、昨年になって経営体制が代わったことで、以前とは仕事の進め方が変わったという証言も多く、それがこんな形で噴出したようだ。

 今回の件で特に激怒したのは、ポリシーボードのプレーヤーメンバーでもあるラブⅢだ。「こんなことがあってはならない。アピアランスマネーの横行で選手のモチベーションが下がり、衰退したテニスの轍を踏まないためにも」と力説。さらにIMG契約選手でもないのに勝手に値段付で選手リストに載せられたことに怒り心頭だ。

 その一方で「ファンが見たいのはフォード選手権のような試合。トッププレーヤーが勢揃いしている理由がなんであるかなんてことはファンにはどうでもいいこと。今回の件に関しては複雑だ」というベテラン、カプルスのような選手もおり、今後の成り行きから目が離せない。

 では日本ではどうなのか。ビッグトーナメントに招待外人選手などを招聘する際には、形式はどうあれアピアランスマネーが支払われているのは周知の事実。だが、規定でツアーメンバーに対するアピアランスマネーは米ツアー同様、禁止されている。

 しかしスポンサーが興味を示しそうなプロアマの開催については積極的だ。「原則として大会の前日1日のみ、最大40組という規定がありますが、主催者がもっと呼びたいといった場合などはその都度、認めればできます。火曜日は練習日として確保しなければなりませんが、月曜日などなら、若い選手を呼んでもらえればプロアマでの経験も積めるし、(一律の)ギャラで交通費分くらいにはなるかもしれません」と、米ツアー事情にも詳しい山中博史ディレクターが話すように、むしろ歓迎している。

 高額賞金で試合がびっしりつまり「少しシーズンを短くしたほうがいい」とタイガーやミケルソンなどから意見が出るほどの米ツアーと、試合が減少傾向で台所が苦しい日本ツアーでは事情がまったく違うため、同じ土俵で比較することはできそうもない。だが、米ツアーのいいところも悪いところも踏まえたうえで、新たな道を模索して行く柔軟な姿勢は必要だろう。

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