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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/14
2004年更新
「女性専門設計クラブ」も続々登場。ホットな
レディス市場を睨んだメーカーの新戦略
 女性用クラブというと、これまではビギナー向けのセットクラブか、男性用の焼き直しというイメージが強かったが、ここ最近、女性専用設計を謳うクラブが続々と登場している。従来の「女性仕様クラブ」と昨今の「女性専用設計」とではどこに違いがあるのだろうか。

「男性用クラブを短くしたり軽くしたりするだけでは対応できません」と説明するのはセイコーSヤードの設計開発に携わる佐藤正一プロ。同社が女性用クラブ「センフィナ」の開発に際して行った女性アマチュアゴルファーのスウィング分析結果がその根拠だ。

「ヘッドスピードは28~33m/s、ドライバーで100~120ヤードくらいしかキャリーしない女性ゴルファーには、もっとボールが上がってつかまりやすいクラブが必要です。また、従来の女性仕様クラブはシャフトが軟らかすぎ。女性にはしなったシャフトを戻す筋力がないため、早くしなり戻るシャフトが適しています。それにはある程度硬めでないといけません」(佐藤プロ)

 プロギアが今夏発売した「513ER」も正真正銘ゼロから開発をスタートした女性用クラブだ。同社が注目したのは打ち出し角度。ドライバーは、低重心化とクラウンのたわみで打ち出し角を高くできるコンポジット構造、アイアンには中空アイアン設計が採用されるなど、男性モデル顔負けの凝った作り。それでいて同様の男性モデルよりもかなり抑えた価格設定で、こと買い物に関してはシビアな目を持つ女性を納得させる内容だ。

 また、ブリヂストンスポーツといえば、アスリート志向の男性ゴルファー層から大きな支持を得ているメーカーだが、「女性の目から見た女性のためのクラブ作りを行うため」(同社広報部/星三和子さん)6年前に女性スタッフによる専門の企画チームを発足させた。同チームの手がけるクラブは、その名も「CL(コンセプト・レディ)」と銘打たれ、入門者用から本格派向けまで幅広い商品展開を行うことで、女性用クラブにおけるシェアを以前の4倍にまで広げる大躍進を遂げている。

 一方、キャロウェイゴルフの「GES」は女性エントリーユーザーを狙ったクラブだ。「女性がゴルフに難しさを感じて離れてしまうのはもったいない」(同社デザイナー/ロジャー・クリーブランド氏)と危惧する同社が「非力な女性でも真っ直ぐ高い球が打てる易しいクラブ」として売り出した。ウッド3本、アイアン3本、パターの新コンセプトクラブを企画したのはやはり女性担当者だ。日本では、このカテゴリーは育ちにくいが、新規参入層の掘り起こしを考えれば、他メーカーからも意欲的な後続商品の登場が待たれる。

 では、こうした女性のゴルフ熱の高まりに比して、女性用クラブの売り上げはどのように推移しているのだろうか。正確な統計データはないが、実は「市場全体での売り上げはほとんど伸びていない」というのが各メーカーの一致した意見。全体の市場が縮小した中で、相対的に女性用クラブの占める比率が高まっているだけというのが現実のようだ。しかしその中で、購買力の高い女性ゴルファーを今後いかに増やし、育てていくかがゴルフ業界全体の課題となっている。

 そのために、宣伝販促などソフト面の充実に力を入れているメーカーがある。カタログでも「おまけ」的に扱われていた女性用クラブが主役に昇格したのはプロギアのウェブサイト。同社では「513ER」の発売に合わせウーマンズプロギアという専用サイトを立ち上げ、人気レッスンプロの内藤雄士の女性向けレッスンや人気女子アナのエッセイなど盛りだくさんな内容で女性ゴルファーの興味を引いている。

 ブリヂストンスポーツもプロモーション活動に意欲的だ。ツアーで活躍する契約女子プロのワンポイントレッスンやネイルアートサービスを盛り込んだ女性限定試打会や、女性スタッフが検診する「レディスゴルファーズドック」など女性でも気後れせずに参加できる活動を行っている。こうした地道な努力が功を奏し、ゴルファーズドック受診者のうち女性の占める割合は1パーセントから15パーセントへと飛躍的に増え、 昨年1年間の女性受診者は年間4000人に達した。ここで集められたデータは当然ながら商品開発にもフィードバックされ、さらに女性のニーズに合ったクラブが生まれるという仕組みだ。

 同社では、来年にはコースレッスンやコンペに、グルメなどプラスワンの付加価値を盛り込んだ新たな女性向けイベントを準備中とのこと。男性に比べて購買意欲が強い反面、興味の対象が多岐にわたり移り気な女性をつなぎ止めておくためには、単に優れた商品を提供するだけでは足りない難しさもある。

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