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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/30
2004年更新
今だに2グリーンで国際試合!? そろそろ
見直したいプロトーナメントのゴルフ場選び
 アニカ・ソレンスタムが練習ラウンドなしで22アンダーを記録し、大会4連覇を飾ったミズノクラシック。この大会のもうひとつの話題は、10代で史上初の1億円突破を果たした宮里藍だったが、その彼女を巡るひとつの出来事が、日本のゴルフ場のあり方に疑問を投げかけている。

 2日目の3番パー5。宮里の打ったショットがサブグリーンに乗ってしまった。そこで宮里は、通常のトーナメント同様、そのままアプローチした。ところが、米女子ツアーと共催のこの大会では、サブグリーンに乗った球の措置が違っていた。サブグリーンに乗った球は救済措置を取って打たなくてはならなかったのに、宮里はそれを怠り2打罰。このホールをダブルボギーでホールアウトしているのだが、そもそも「サブグリーン」という存在そのものが、日本にしかないため、米ツアーの際に違うルールが適用されるややこしい事態が生じた。

 もともとは、湿気の多い日本の気候に合わせて造られた高麗、ベントの2グリーン設計。最近では、世界のトーナメントコースを意識して、1グリーンに改造するコースも増えては来た。けれど、いまでは芝の改良が進み、メンテナンスしやすくなったため、ベント2つというコースも含めて、まだまだ2グリーンが多いのが現状だ。

 だが、プロのトーナメントくらいは1グリーンのコースを選んで開催すればいいのではないか?

 かつて日本オープンを連覇(77-78年)して、日本でのコース設計も多いメジャー5勝のセベ・バレステロス(スペイン)や米ツアーで優勝争いを演じていた頃の中嶋常幸などが「日本は2グリーンでやっているからダメなんだ」と常日頃から口にしていた。

 また、米女子ツアーに13年間常駐していた小林浩美も、「トーナメント開催についてはスポンサーの問題もあるだろうから一概には言えないけど、大きくグリーンを外しても広くなっている2グリーンでばかりやっていると、やはり正確性を欠くことになる」と苦言を呈している。

 常駐しなければ戦えない状況の男子はもちろんのこと、世界との距離が縮まりつつあると言われる日本の女子ツアーの選手たちが、海外のメジャー大会に招待されて出場しても、レベルの差に愕然として戻ってくるケースが多い。

「実力の証明である平均ストロークを比べればその差は明らか。コースセッティングの違いもありますが、それでも米ツアーはトップ3が60台なのに、日本では首位の不動さんでさえ70.67。これは米ツアーの6位と7位の間に相当するんです」(数字はいずれもミズノクラシック終了時)

 という小林浩美の解説に頼るまでもなく、米ツアーのレベルの高さは、誰もが肌で感じていることだろう。

 かつて行われていた日米対抗戦でも結果に表れたことだが、この差は下へ行くほど歴然とし、米国のシード選手である90位の72.85という数字は、日本の16位(72.86)に相当し、逆に日本のシード選手(50位)にあたる74.46は、米国だと、実に165位の選手と同レベルということになる。

「単純に言うと3倍の層の厚さの違いがあります。これでは米ツアーの選手が日本に来てすぐ勝つのもあたり前」と、小林が示す現実。その理由のひとつに2グリーンを含む、コースの選定、さらにはセッティングの違いがあるのはこれまでも問題にされてきたが、一向に改善する兆しが見られない。

 実際問題、2グリーンで行われている日本のトーナメントは果たしてどれくらいあるのだろうか。

 数えてみると、男子では29試合中12試合、女子では31試合中14試合と、約半分がそれにあたる。むやみに難しいコースが選手を育てるとは言えないが、ティグラウンドからグリーン、さらにカップに向かってどんどんターゲットが狭くなっていくのがゴルフの醍醐味。フェアウェイから見て、グリーン周りが逆に広くなっている2グリーンのコースでは、これが失われる傾向にあるのは否めない。

 そろそろ、プロだけではなく、世界を本気で目指すゴルファーを育てる観点からも、試合開催コースについてもっと考える時期に来ていることを、宮里の事件が浮き彫りにしているようだ。

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