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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/30
2004年更新
1億円で大騒ぎする日本ツアーを尻目に、
シンが11億円稼いだ米男子ツアーの懐事情
 ビジェイ・シンが、史上初の1000万ドルプレーヤーになった。といっても、もちろん生涯獲得賞金のことではなく、年間の獲得賞金で1000万ドル、日本円にして11億円を超えるプレーヤーとなったのだ。日本では、男女ともに1億円を超えるプレーヤーに注目が集まっているが、1000万ドルというのは、まさに言葉どおりの桁違いのビッグマネー。今年のシンの記録は、10年、20年単位で破ることができない大記録になる可能性も十分にあるのだ。

 正確に言えば、シンの今年の獲得賞金は、1090万5166ドル。日本円にすると約11億2400万円を超えるもの凄い金額だ。過去、4メジャー連続勝利のタイガー・スラムの達成途上にあったT・ウッズが、2000年のシーズンに年間9勝して、約919万ドル(約9億4000万円)を稼ぎ出したことがあったが、この大記録を170万ドル以上も上回り「自分でも信じられない年なった」(V・シン)というわけだ。


ウッズをはじめトップ・プレーヤー達の年間出場試合数が20試合弱なのに対して、41歳の鉄人シンは今季29試合に出場。1試合平均4000万円以上稼ぎ続けた
 確かに、賞金アップのインフレによる影響は少なくないが、41歳の鉄人シンは、今季、なんと29試合に出場している。T・ウッズをはじめとしたトップ・プレーヤー達の年間出場試合数が20試合弱であることに対して、その1.5倍も試合に出ているシンが、1試合平均で4000万円以上稼ぎ続けた結果と考えれば、この記録が簡単に敗れるものではないことが、よく分かるだろう。

 シンの年間9勝というのは、ウッズの2000年の9勝と並ぶものだが、このウッズの記録自体が50年ぶりの偉業であったことを考えれば、年間1000万ドルというのも、今後しばらくは破られそうもない記録となる可能性が大きいといえるだろう。というのも、過去8年ばかり続いた米ツアーの賞金アップも、来年以降は頭打ちになるという見方が強いからだ。

 振り返って見れば、わずか10数年前の日本のバブル期には、日本とアメリカの賞金額は、大差がないといわれていた。あのジャック・二クラスでさえ、生涯の獲得賞金は、600万ドルに及ばず、トム・ワトソンにしても1000万ドルに達していない。それが、いまや丸山茂樹は、すでに米ツアーの生涯獲得賞金でニクラスを抜いているし、今年、ランキング104位の田中秀道でさえ79万5206ドル(約8500万円)もの賞金を稼ぎだしている。

 米ツアーは、3~4年ごとにTV放映権料の契約更新を行なっているが、過去9年間でこの放映権料を3倍以上に引き上げることに成功している。1997年にT・ウッズがマスターズに初優勝し、14.1パーセントの視聴率を稼ぎ出した直後に行なった契約更新の結果、年間の放映権料は98年の6300万ドルから99年の1億2400万ドルへと一気に倍増している。

 前回の契約更新は2001年で、ちょうどタイガーが4連続メジャー制覇を達成した直後から9.11テロの直前に交渉を終えた。そのときの契約料は02年が1億6200万ドル、03年は2億900万ドルと跳ね上がっている。そして、来年が契約交渉年となっているのだが、「米ツアーの平均視聴率が3パーセント前後しかなく、TV局が(お金を)儲けることができないのが現状であり、プレーヤーばかりがあまりに多額の賞金を手にしている」(ある米テレビ局の重役)と、これ以上の放映権料、つまり賞金アップは望めないばかりか、賞金減の声まででている。

 本来この時期、米ツアーでは来年の賞金総額を発表しているのだが、その発表が遅れているのは、放映権料のダウンが予想される再来年以降の調整をしているため、 とも見られている。とすれば、シンの年間1000万ドルの獲得賞金という記録は、今後も破られることのない「大記録」ということになる可能性が高い。

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