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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/23
2004年更新
19年振りの快挙。「マンデー組優勝」の井上信
月給10万円暮らしから一転、シードプロ人生へ
 プロ7年目の井上信(29)が、ABCチャンピオンシップでツアー史上19年ぶり、3人目となる快挙を達成した。もともと同大会に出場権がなかった井上は、大会週の月曜日に本戦切符をかけて行われる、いわゆる“マンデートーナメント”から勝ちあがって、初優勝を手に入れたのだが、過去、このマンデーからの優勝者は79年フジサンケイの佐藤昌一と、85年三菱ギャランのブライアン・ジョーンズの2人しかいなかった。2004年の“シンデレラボーイ”の素顔に迫った。

 98年のプロ転向後、賞金ランクの最高順位は昨季の118位。今年も、出場優先順位をかけたファイナルQTからの参戦で、これまで一度もシード入りさえなかった選手が、たった1週間で荒稼ぎ。これまでのプロ7年間でようやく稼ぎ出した1490万円余をはるかに超える優勝賞金、2400万円をいきなり手にして戸惑いを隠せない。優勝インタビューも、初々しいものとなった。


チャンスを生かせて、大満足
------マンデートーナメントからの挑戦で、初優勝をあげた気持ちは?

「言葉にならないくらい、嬉しかったです。自分にそんな大それたことができるなんて今でも信じられません。今回の目標は、あくまでも初シード入り。本戦でも1番になれるなんて、マンデーを受けた時点では、まさか想像もしていませんでした」

------マンデーでは、66をマークしてトップ通過を果たした。

「これから終盤の出場権は、ほぼ絶望的だったし、とにかくチャンスが欲しかった。12月に30歳になるのですが、今年を逃すと当分(シード入りは)長引くぞ、という予感があった。なんとしてもシード権が欲しい、その一心でマンデーを受けました。突破できて、本戦では『このチャンスは絶対に生かすぞ』と」

------最終ホールのバーディで逆転。激戦を制し、マンデーからの挑戦とは思えない堂々とした勝ちっぷりでしたね。

「あの18番(パー5)には女神がいたとしか思えない。マンデーと、本戦の2、3日目にイーグルを奪っている相性の良いホールだったんです。川岸さん、神山さん、鈴木さんと4人並んで18番に来たときに、『これはまだ、何かある。僕にもチャンスがあると思って頑張ろう』と。でも、それって『優勝の』という意味ではなくて、『5位内入るチャンスがあるぞ』って気持ちだったんですけれど」

------1.5メートルのバーディパットが沈んだ瞬間の気持ちは?

「あんまり、よく覚えていません。夢中でした。僕は1メートルくらいかな、と感じたんだけど、応援に駆けつけてくれたみんなが、『もっとあったぞ』って。ラインも、実はキャディがスライスと読んで、そのとおりに打ったつもりなのに、実際はなぜか、フックしてカップインしてました。同じ組でまわった神山(隆志)さんと目が合って、自然と涙が出てきましたね」

------飛ばし屋で有名だそうだが、最近は飛距離を封印していた?

「10月の日本オープンのとき、悪天候で毎日のようにサスペンデッド。タフなセッティングとコンディションの中で、『20ヤード遠くに飛ばそうがその分リスクが大きければ、結局、同じじゃないか?』と、気がついたんです。それならば多少飛距離が落ちても安全に行こう、と。これまで、何度か優勝のチャンスがありながら、決勝ラウンドでスコアを崩していたのも、その辺に原因があったのではないか、とも思って。常に7割くらいの力加減で振っていったほうが、良い結果が得られるのでは、と考えました。結果的にはその作戦が今回の優勝につながったと思っています」

------19年ぶり3人目の快挙を達成したことについては?

「本当にすごいことをしちゃったんだな、と。今後2年間の出場権をいただいたわけですが、『本当に僕なんかが出ちゃっていいの?』というのが正直な気持ちです。チャンピオンとして恥をかかないよう、もっともっと練習したいと思う。同時に、まだ出場権を持たない人たちには僕のように、『下から上り詰めて勝つチャンスもあるんだ』と、やる気を出してもらえたら嬉しいですね

*

 初優勝の翌週の記者会見で、井上は数週間のツアー欠場を発表した。なんでも優勝の瞬間、駆けつけた仲間に胴上げされたあと、18番グリーンの池に投げ込まれたときに、肩から肋骨をしたたかに打ちつけたのがその原因という。全治3週間の負傷だった。

 これから終盤、ビッグトーナメントが続くだけに思いがけない不運に井上は肩を落としながらも、「フェニックスや日本シリーズなど、ずっと出場を夢見ていた試合だし、できるだけ早く直して復帰したい」と前向きなコメントを残したが、この事故を重くみた日本ゴルフツアー機構は、優勝後の祝福方法には十分配慮するよう、選手たちに通達するなど、実にさまざまな波紋を投げかけた今回の優勝劇だった。

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