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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/5
2004年更新
日本女子プロで、協会側が初日の朝に突然
グリーンを硬くし、選手からは不満の声
 女子の今季メジャー第1戦・日本女子プロ選手権。不動裕理の大会2連覇か、宮里藍の公式戦初Vなるか……今季注目度の高い女子ツアーだけにいろいろな期待も膨らんだが、最後はベテラン・肥後かおりの独走優勝に終わった。肥後が自ら「奇跡的」と表した最終日のプレーを見れば、ト、大迫、森口、塩谷に次ぐ史上5人目のメジャー3冠達成は誰もが納得する結果だが、今年のLPGA“最大年中行事”には、さまざまな疑問の声が飛び交っている。

 最たる批判の声は、出場選手の多くからあがった、コースセッティングについて。開催コースの太平洋クラブ&アソシエイツ益子コースは、昨今太平洋クラブが「御殿場コース以上」とまで評価する名コース。それだけに、今大会はさぞかし難しい条件になるだろうというのが、戦前の関係者らの予想だった。

 が、大会初日9日前の記者発表で前年度優勝者の不動はプレーした感想を「このコース状況下なら、優勝には4日間で10アンダー以上が必要だと思う」と、言い切った。実際、通常パー71で営業するコースをパー72とし、さらにラフは短く、フェアウェイもそう狭くない、グリーンも軟らかくミドルアイアンでもボールがピタピタと止まる状況だったという。そんな噂は、選手間にも知れわたり、練習ラウンドを終えた選手らも口々に不動と同様の意見を漏らしていた。

「厳しい位置にカップを切ってくるだろうけど、ハイスコアの争いは必至」、水曜のプロアマ競技を終えた時点でも、各選手の声は変らなかった。

 が、木曜、いざ試合が始まったら意外な現象が。選手たちの打ったボールは、グリーン上で前日までとは明らかに違う弾みと転がりを見せた。ある賞金ランク上位選手は「朝、練習グリーンに一歩足を踏み入れただけで、昨日までとはまったく違う硬さなのがわかりました」と言うほど。事実、プロアマ日に「9」だったグリーンのコンパクション(硬さ)は「14」に跳ね上がっていた。女子プロ協会関係者によると「前日までの状態では軟らかすぎるので、11まで上げようとしたのが硬くなりすぎてしまった」のだという。

 注目の宮里はプレーに精彩を欠いて5オーバーの53位タイ発進、「パットのフィーリングも出ないまま、ショットのイメージも決まらず集中できないまま、一日終わってしまった」と話した。

 連覇を狙い、一日3アンダー以上は必要、と見ていた不動も2オーバー15位タイ。急激に変化したコースに「いいスコアが出るなんて言っちゃったから……。マズかったですね」と苦笑するしかなかった。

 逆に、首位発進したのは坐骨神経痛に悩むウェイ・ユンジェ。著名選手の中で好発進を果たしたのはスウィング改造中の福嶋晃子。取材陣の中には「準備万端整えた選手はセッティングの急変に混乱したが、現状では自分の満足するゴルフができない選手は、とにかく“スコアを崩さないように”プレーするしかなかったので、逆によかったのでは?」と分析する声も。

 3日目、最終日の決勝ラウンドになり、変化に対応できたのか、不動、宮里らも、“らしさ”を見せたが、選手間には「こんなやりかた、ひどい。練習ラウンドした意味がなかった。クラブセッティングだって変えたかった」と非難の声が洩れてきた。

 はたしてメジャー大会とは、そこまでしてハイスコアの優勝を嫌うものなのか。事前にメジャー大会らしいセッティングをしなかったことのしわ寄せともいえる当日朝の“難易度操作”によってV争いに今季の役者たちが揃わなかった、のなら残念でならない。

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