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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/20号
2004年更新
ゴルフブームの自国より日本のほうが安い?
韓国企業による日本のコース買収の動き顕著
 ゴルフ場のスポンサーと言えば外資。外資と言えば欧米勢と相場が決まっていたが、自国の過熱したゴルフブームの勢いに乗ってか、韓国勢による日本のゴルフ場のスポンサー獲得戦線に参戦する動きが顕著になってきた。

 今回、韓国勢が獲得したのは、相武総合開発グループの仙台空港CC。6月23日付で正式にスポンサー就任が決定した(株)ルートン・ジャパンは、ソウルで不動産開発や家具の生産販売を手がける(株)ルートンが、仙台空港CCの取得のために設立した日本法人だ。

 昨年8月に民事再生手続きの開始を申し立てた相武総合開発グループは、国内6コースを全て現地に“相武総合開発(株)”という同名の経営会社を設立(沖縄だけは(株)沖縄本部カントリークラブ)する体制をとっていたためもあって、これまで決まってきた5社のスポンサーはすべてバラバラだった。

 6社めとなる仙台空港CCのスポンサーには、会社側が立てたルートン・ジャパンのほか、従業員でもある会員が立てた、国内勢の(株)ジェーシーエーが名乗りを挙げ、再生計画案も双方から出されていた。

「ルートンという会社に、日本でのゴルフ場経営の実績がないことや、自分の勤務先が外資系になってしまうことが、従業員を不安にさせた」(監督委員の奈良道博弁護士)ためだ。

 しかし、退会会員の扱いについてはほとんど差がなかったが、継続会員の扱いについては会社側の案が「86パーセントカット」だったのに対し、会員側の案が「94パーセントカット」と、会社側の案のほうが好条件だったこともあり、計画案提出後に(株)ジェーシーエーがスポンサーを下りていた。

 ところで、韓国資本による日本のゴルフ場業界進出の先例としては、昨年秋、本間ゴルフが、阿蘇高森GCを韓国の本間製品の独占販売代理店系列の会社に売却した例や、すでに民事再生法となっている千葉県の米原GCなども韓国資本の会社の傘下となっている。

 一方、パク・セリらの活躍もあって、韓国内は今、空前のゴルフブーム。ゴルフ場はどこも満杯で、思うようにプレーができない韓国人ゴルファーの需要を見込んで、宮崎空港周辺の3ゴルフ場が、アシアナ航空系列のアシアナCCと提携、双方の会員が相互にメンバーフィでプレーできるほか、大分県の城島後楽園CCも韓国のコースと提携、相互利用の会員サービスに加え、韓国のコースからの従業員の研修受け入れにも合意している。

 また、栃木県の大田原市でも韓国ゴルファーの誘致に乗り出しているし、韓国のゴルフ用品販売会社・韓国産業洋行は、九州でのゴルフツアーを専門に組む旅行会社の立ち上げも計画している。

 今回の買収もそういった背景が影響し、自国のゴルファー誘致といった狙いがあるのかと思われたが、ルートン・ジャパンの親会社であるルートン社の代表は、「韓国で事業に成功した人物で、大のゴルフ好き。シングルプレーヤーでもある。日韓交流会の会長も務めている親日家で、韓国からの直行便が入っている仙台で余生を過ごしたいとも言っているほどの仙台好き。とくに韓国からの集客を宛て込む予定はなく、地元重視で行くと聞いている」(相武総合開発の民事再生申立代理人・大岸聡弁護士)という。

 現在、韓国からの直行便は、アシアナ航空、コリアンエアーの両航空会社を合わせると、成田、関空、羽田以外に北は新千歳から、南は那覇まで、実に20都市に就航している。

 韓国からの来訪者にとって重要なのは、あくまで空港からのアクセスであって、主要都市部からの距離ではない。一部のコースではレストランでハングル語のメニューを出しているところもあり、戦略次第では韓国からの来訪者で大幅な集客増が見込める可能性は十分ある。

 今回の買収とは直接関係はないものの、空前のゴルフブームの只中にありながら、コース不足で思うようにプレーができない韓国人ゴルファーによって、アクセスの悪さゆえに集客難に悩む日本の地方のコースが生き返る、ということもあり得るかもしれない。そして、それを見込んでの韓国企業による買収も今後さらに増える余地は十分にある。

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