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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/22号
2004年更新
インストラクターも共犯で逮捕された
熊本でのホールインワン詐欺の顛末
 ホールインワン保険の詐欺事件は過去にも例があるが、今回、熊本県下のゴルフ場で起きた事件は、県下では初ということに加え、インストラクターが加担した容疑が濃厚ということで大きな注目を集めている。

 この事件は、三重県津市の無職、藤本健三容疑者(49)と熊本県西合志町のゴルフインストラクター、志柿修作容疑者(38)が共謀、熊本県下の2ゴルフ場でアルバトロスとホールインワンを達成したものとして約200万円近い保険金を騙し取った容疑で、熊本県警に5月27日に逮捕されたもの。

 調べによると、平成12年6月と14年8月の2回、キャディの目を盗み、アルバトロスとホールインワンを達成したとして、ゴルフ場に証明書を発行させ、まんまと損害保険会社から保険金を騙し取ったという。2人は、藤本容疑者が志柿容疑者のゴルフの生徒として、平成11年頃からの付き合いだというが、住所が三重県と熊本県。離れた県に住む2人にどんな接点があったのか。また、どういう経緯で、4年前と2年前の詐欺が今になって浮かび上がったのだろうか。熊本県警が説明してくれた。

「実は藤本容疑者も熊本の人間ですが、いろんな債務で逃げ回り三重県が現住所となっていた。この藤本容疑者を、熊本県内で過去2回、交通事故を偽装して車両保険金を騙し取った疑いで今年の2月に逮捕して余罪を追及していたところ、今回の詐欺も自供し、逮捕となったのです」(熊本県警・捜査担当者)

 事件の舞台となった2つのゴルフ場で当時の状況を聴いた。

 アルバトロスが達成されたというAゴルフ場では「約500ヤードのパー5で、グリーンまでほとんどフラット。当日はピンが奥で根元が見えない状況でした。キャディの記憶では、藤本容疑者の第2打はグリーンに落ちてピン方向に転がっていったそうですが、弾道からしてグリーンオーバーかな、という感じだったそうです。ところが、志柿インストラクターがショットを曲げ、キャディが探しにいっている間に、藤本容疑者が乗用カートで先にグリーンに行き、キャディが行ったときには、グリーンの奥のラフでボールを探していたそうです。そして、いくら探してもないので、キャディがカップを見たら入っていたのです。おそらく先にグリーンに上がってカップにボールを入れ、それからグリーン奥でボールを探すフリをしていたのでしょう」(同ゴルフ場支配人)

 一方、パー3でのホールインワン詐欺の舞台となったBゴルフ場では「レギュラーティから123ヤードで、20~30メートル打ち上げのホールで、ティグラウンドからはグリーン面は見えません。当日は、さらにご夫婦2人の生徒さんを連れてのプレーでしたが、このご夫婦がOBゾーンに打ち、それをキャディがご夫婦と一緒に探してる間に、志柿インストラクターが先にグリーンに上がり、キャディが藤本容疑者のボールをカップの中に見つけた、ということです。藤本容疑者のショットもピン方向に飛んでいったので、キャディも疑問を持たず、証明書を発行しました。2人は当ゴルフ場に初めて訪れたわけではないようですが、馴染み客ではありません」(同ゴルフ場支配人)

 ところで、藤本容疑者の自供で明らかになった今回の詐欺事件だが、インストラクターの志柿容疑者は容疑を否認している。しかし、ホールインワン保険が下りるには、記念品作成や、祝賀会開催などでお金を使った証明が必要で、たしかに今回、記念品作成の領収書はあるものの、領収書は志柿容疑者が発行したものであることなどから、熊本県警では共犯であることは間違いないと見ている。

「志柿はコンペ賞品のカタログ販売のようなこともしていて、藤本容疑者のホールインワンの記念品代の領収書を発行していますが、それも架空のもの。藤本容疑者も、下りた保険金の一部を志柿容疑者に渡したと自供してることから、共犯であることは間違いないと見ています」(前出・熊本県警担当者)

 インストラクターである志柿容疑者だが、平成5年にNGF(日本ゴルフ財団)のアマチュア指導者としての資格認定を受け、その後、平成12年にプロとして登録し直し、レッスン活動を行っていた。

 今回の事件を受け、NGFでは「他のインストラクターから、何らかの処分を、という声も届いてますが、本人が否認してる現時点では処分保留。罪が確定すれば、除名となるでしょう」(NGF事務局)

 ゴルフ場にすれば、証明書の発行による実害はないが「今後、このようなことが起こらないように、ショートホール等では、できるだけプレーヤーより先にキャディがグリーンに上がるように指導しました」(前出・Bゴルフ場支配人)という。

 それにしても、この容疑が事実だとすると、ゴルフを教えるべき立場であるインストラクターが、いったい何を教えているのか。呆れるばかりだ。

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