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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/10号
2004年更新
ドライバーテスト&使用クラブ番手の報告
今季、米ツアーで始まった2つの試みの余波
 米男子ツアーでは今季から、試合会場で新たな試みが2つも始まり、選手やキャディの間でも戸惑いが見られている。こうした新施策が取られる背景には、昨今の選手たちの急激な飛距離の伸びという要因がある。果たして、PGAツアー側の思惑はうまくいくのだろうか?

 新施策のひとつは、開幕戦から試験的に会場で実施され始めたドライバーの高反発規制テスト。現状では、テストを受けるかどうかは選手の任意だが、開幕戦のメルセデス選手権ではT・ウッズと丸山茂樹、V・シンの3名が自らテストを受けた。翌週のソニーオープンでも数名が受けたが、「合計人数はいまだにヒト桁台」とは、PGAツアーのルール委員のマーク・ラッセル氏の証言。

 いの一番にテストを受けたタイガーは「今後のステップになると考えれば、任意であっても、このテストが始まったことは大きな前進」、丸山は「任意ではなく全員が受けることにすべき」と言っている。2人は“テスト推奨派”と言えるが、選手の中には反対派もいる。

「選手は信頼するメーカーから渡された道具を使うのだから、メーカーがきちんとテストを受け、問題ないとされた道具を選手に渡せばよいだけのこと。選手にテストを受ける義務はないし、余計な仕事が増えて迷惑」という意見もある。また、今回開始された簡易測定器でのテストの正確性を問う意見も多い。

 開幕戦からの4週間、このテストは米国ゴルフ協会(USGA)のシニアリサーチエンジニア、マット・プリングル氏がPGAツアー会場に出向して行っているが、「テストの信憑性は非常に高い。以前はボールをフェースにぶつけて計測していたが、新しい計測器はスチールの振り子をぶつける。スチールは(ボールと違って)気温などの影響を受けることもきわめて少なく、どんな環境下でも狂わない。計測結果は白か黒かに明確に分かれ、曖昧な“グレー”にはなり得ない」と自信満々だ。

 ちなみにテストを受け、試合開始前に違反クラブだと判明した場合は、合法クラブに持ち替えて試合に出れば問題なし。試合開始後にテストを受け、試合中に使っていたクラブが違反と判明すれば失格となる。いずれは選手全員への義務付けになるのかどうか。その見通しは、いまだに“グレー”だ。

 さて、もうひとつの新しい試みは、試合中の全ショットの使用クラブの番手を報告するというもの。選手たちのプレーぶりをコンピュータ上に反映させるショットリンクスの内容を、より充実させ、テレビ中継などの報道に活かすことが目的だ。

 PGAツアーのメディア担当のジョー・ケミス氏によれば、「ドライバーテスト同様、これも現状では“試験的”かつ“任意”。提出しなくても罰金やペナルティを科すわけじゃない。あくまでお願いしている段階」

 しかし、毎日、スタートホールで係員から番手記入用紙を手渡されれば、義務付けになったかのように思える。実際、義務付けだと思って提出したキャディもいた。メルセデス選手権では出場選手30名全員のキャディから番手レポートが提出されたが、翌週のソニーオープンでの提出率は約8割。メルセデスに出場するような有名プロは、影響力も考慮してか、この施策に協力的で、丸山のキャディ、杉澤伸章さんも「去年の終盤の試合でも何度か実験的にやったんですけど、使用クラブはほとんど覚えてますから、別に大変ではないですよ」と好意的だ。

 ところが、ソニーオープンでは数人のキャディが「全番手なんて覚えていない」「用紙を紛失した」などと偽り、提出を拒否、「キャディの仕事がまたひとつ増える上、その仕事に対して報酬も出ない」というのが番手レポート反対派の意見の大方を占めた。

 ともに“任意”という形で始まった2つの施策だが、ツアー界が変化しつつある時代の要求だと考えれば頷けるが、であれば、任意でなく、義務付けにしたほうがすっきりしそうだが。

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