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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/11号
2003年更新
アニカはなぜコロニアルを選んだのか?
予選通過の可能性は? 男子プロ達が予想
 アニカ・ソレンスタムが男子ツアーのバンクオブアメリカ・コロニアル(5月22日~25日)出場を決め、話題を集めているが、プロゴルフ界で女子選手が男子の試合に挑戦するのは、1945年にロサンゼルスオープンに出場したベーブ・ザハリアス以来58年ぶり。果たして予選通過はできるのか? 優勝もありえるのか?

 そもそも、ソレンスタムが男子の試合に出場することになった経緯は、1月にフロリダ州で開かれたキャロウェイのメディアイベントの席で「もしPGAツアーの試合から招待を受けたら出るか?」と尋ねられたソレンスタムが、「興味がある」と答えたことから始まった。

 早々に推薦出場を打診したのはBCオープン。続いてクライスラークラシック・オブ・ツーソン、バンクオブアメリカ・コロニアルがソレンスタムにラブコールを送った。しかし、ソレンスタムには即答しがたい事情があった。昨年LPGAで11勝挙げており、今年はそれらの試合に前年度優勝者として出場しなければならないし、女子の4大メジャーは欠場できないため、男子ツアーに出られる週は自ずと限定される。さらに、開催コースが自分のゴルフスタイルに合っている試合を選ぶ必要もある。検討を重ねた結果、ソレンスタムは「コースと日程。それぞれの相性を考えてコロニアルからの招待を受けることにした」というわけだ。

 さて、気になる「コースとの相性」だが、ベン・ホーガンのホームコースと言われるコロニアルCC(テキサス州)は全長7080ヤード、しかもパー70。そのためパー5が2つしかなく、そのいずれもが長く距離的にはむしろタフなコースと言える。

 コロニアルのコースを熟知する男子プロたちの反応は賛否両論さまざまだ。タイガー・ウッズは、「好成績を出せれば、女子選手たちの励みになり、大きな貢献になる。しかし、97年の僕がそうだったように、ピンが難しい位置にあると、スピンをかけてボールを高く上げる以外に攻められず、かなりの苦戦を強いられる」と指摘。もし予選落ちするようなことがあれば、かえって女子選手の限界を露呈させてしまうという否定的なニュアンスさえ臭わせている。

 逆に、フィル・ミケルソンは、「女性がどこまでやれるか興味津々。すばらしい挑戦だ。コロニアルはドッグレッグが多く(ドライバーが使えないホールが多いため)、アニカは私たち男子プロと同じスポットからグリーンを狙える。20位ぐらいには入れるんじゃないかな。私はなんとか19位以内に入りたいけどね」と、ソレンスタムの上位入りを予想している。

 ところで、コロニアルの過去の優勝者では、平均飛距離258.1ヤードでランク201位(02年)のコーリー・ペイビンが2勝を挙げているのが目を引く。昨年の優勝者ニック・プライスの飛距離ランクも166位(272.7ヤード)と低い。ソレンスタムのLPGAでの飛距離ランクは4位で、彼女の平均飛距離265.6ヤードは男子ツアーにおける196位に相当。つまり、ペイビンはソレンスタムより飛ばないにも関わらず、コロニアルを過去に2度も制していることになる。そのペイビンにソレンスタムがこのコースでどこまでやれるかについて尋ねた。

「パワーより正確性が求められるコース。とりわけ、ドッグレッグをピンポイントで狙えるアイアンショットの重要性が高い。グリーンも小さい。とはいえ、ドッグレッグのティショットに私は3Wを多用する。だから、アニカも3Wの正確性があれば大丈夫。セカンドは私でもショートアイアンで狙えるホールがいくつかあるから、アニカもそういうホールで確実にバーディを取れば大丈夫でしょう」

 アニカの挑戦に対する様々な予想でゴルフ界全体が揺れているが、すでにLPGAでツアー42勝、メジャー4勝、昨年は国外を含めると13勝を挙げたソレンスタム。ツアー参戦10年目の今年、殿堂入りも決まり、十分すぎるほどの実績を挙げた上に、史上稀なる挑戦をしようとしている彼女は、何を求めて男子の世界に足を踏み入れるのか?

「私は自分自身の力をひけらかすためにゴルフをするのではありません。自分に何ができるかを示すためにゴルフをするんです。自分をゴムバンドにたとえるとしたら、私はそのゴムバンドがどこまで伸びるか見てみたい。世界最高峰のPGAツアーで自分がどこまで戦えるか試してみたい。ゴムバンドが切れたら終わり。生涯ゴルフをしようとは思っていませんから」

 果たして、“アニカのゴムバンド”はどこまで伸びるか。コロニアルが今から待ちどおしい。

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