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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/28号
2003年更新
破産から既に10年、開場のメドも立たない
茨城CCを、市がスポーツ施設に転用計画も
 被害額で史上最悪の詐欺事件となった茨城CC事件。破産から10年以上が経ち、事件そのものは風化しつつあるが、コースは完成したものの、未だオープンの目途は立っていない。そんな中、地元高萩市に譲渡し、市がスポーツ施設に転用するという計画が大手新聞に報じられたが……。

 茨城CCは、ケン・インターナショナルの水野健元社長が手がけたゴルフ場。同氏は東京国際空港CC、鶴ヶ島CC、東名小山CCなど数々のコースを舞台に、会員権を乱売したことで有名な人物だ。その手口は、破綻寸前のゴルフ場を買収、会員権を乱売することで再建を目指すというものだが、「茨城CCだけは許認可から設計・施行までをすべて水野が手がけた唯一のコース。それだけに水野にとって、会員権乱売ビジネスの集大成ともいえるコース」(かつて水野元社長の側近だった人物)だった。

 さて、その集大成は、全国に約5万6000人の被害者を生み、平成3年、コース完成直前に同社の破産といった形で幕を閉じる。一方、全国で被害者弁護団が組織され社会問題化するとともに、水野元社長は脱税、詐欺罪などに問われ逮捕、判決を受けて服役した。茨城CCは、破産管財人が管理の下、コースを完成させ、売却先を求めて複数の候補と交渉を続けてきたが、全国に馳せた悪名と、バブル崩壊の影響を受け、交渉はまとまらずに今日に至っている。被害者の中から再建の道も模索されたが、すべて暗礁に。現在まで破産管財人が管理こそしているものの営業は行なっていない。

 ちなみに被害者は200万円で購入した者が多いが、過去2度の破産配当がなされている。だが、売却先が決まらず、ケン・インターナショナル、水野元社長の資産を処分した原資から1.8パーセント、1.3パーセントという低いレベルのもので、被害者には数万円しか戻っていない。「3回目の配当は、極めて不可能に近いといわざるを得ない」(大橋堅固破産管財人)という、袋小路の状態になっていた。

 そこに飛び出したのが、地元・高萩市が無償に近い状態で茨城CCを譲り受け、そこに市がスポーツ施設に転用するという今回の報道だ。1度も使用していないクラブハウス、併設する24室のホテルなどは、高校、大学のゴルフ部や日本バレーボール協会のトレーニングセンターに活用する案なども検討されているという。

 これについて高萩市では「破産管財人から市長に打診があったのは事実のようですが、正式に検討しているというものではなく、新聞報道には驚いています。ただ、事件からすでに10年経ち、広大な敷地や施設を有効利用する方法を真剣に考えることは市としての基本スタンスです」と話す。

 一方、当の大橋管財人は、市長との交渉があったことは認めた上で、「あくまで選択肢のひとつであり、あらゆる可能性を求め、いろんな方面と交渉している中での話。すでに破産から10年が経過し、このままの状態が好ましいはずもないので、なんとかすべく努力はしています」とする。

 破産当初は、売却代金は1000億円とも噂された茨城CCだが、バブル崩壊とともに予想価格もジワジワ下がり、平成9年には一度は45億円で落札されたものの契約が白紙に戻ったこともあり、現在では20億円でも買い手のいない状況とされている。そんな「お荷物」だけに、市への無償に近い譲渡という計画も生まれたのだろう。

 いずれにせよ、今年は茨城CCにとって、なんらかの結論を出す年になりそうである。

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