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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/28号
2003年更新
マスターズ期間中、コース周辺でのデモを
地元警察が禁止、オーガスタ紛争一層過熱
 タイガー・ウッズが膝の手術のリハビリで開幕戦を欠場。そのためもあってか、年が明けても米ゴルフ界は、依然としてオーガスタの女性メンバー入会問題に話題が集中している。

 暮れも押し迫った12月27日には、真夜中にフェンスを乗り越えてオーガスタ・ナショナルでプレーをしようとした若者2人が地元警察に捕まるという事件があったが、これもある意味ではオーガスタを巡り緊張が高まっている証拠。地元警察によれば「フェンスの外側の茂みにボールとクラブ2本を抱えて隠れていた」23歳と25歳の酒に酔った若者を逮捕したのだが、まだコースに忍び込む前に捕まっており、それだけ警戒が強まっていたともいえるのだ。

 また、今年に入り、地元リッチモンド郡警察のR・ストレングス署長が「マスターズの期間中は、コース周辺の歩道では、デモ活動を許可しない」と発言し、注目されている。というのも、マスターズ期間中は、女性団体のNCWOを始め、黒人指導者のJ・ジャクソン師をリーダーとするレインボー・グループなどが大規模なデモを予定しており、大会が無事開催できるのか注目されているからだ。

 オーガスタ・ナショナルに接する公道のワシントンロードは、歩道が狭い上に、マスターズの期間中には歩行者も多く、出店などが立ち並ぶことから危険が多すぎるということなのだが、オーガスタ周辺でデモができないとなれば、「集会の自由」を巡っての大問題にも発展しかねない。また、地元紙のオーガスタ・クロニクル紙では、オーナーがオーガスタのメンバーだが、同紙の記者がこの問題について記事を掲載しようとしたところ、1面から社会面に移された上に「混乱を避けるためにも女性メンバーを入れてはどうだろうか」といった文章を、社主の命令によって削られたなどという“事件”も起きている。

 なにやら60年代の南部の公民権運動を彷彿させるが、それくらいオーガスタ周辺では緊張が高まっているということ。女性団体側もただ黙って指をくわえて年を越していたわけではない。NCWOのウェブサイト上(www.augustadiscriminates.org)で、『偽善者の殿堂』と題し、オーガスタのメンバーになっている経営陣の写真や、その企業のアドレスや電話番号を掲載、支援者たちに、メールや電話で圧力をかけるように暗に促しているのだ。

 そして年末、女性団体サイドの最大の“収穫”は、CBSの元最高責任者、T・ワイマン氏(72)のオーガスタ退会のニュースだろう。なにしろワイマン氏は79年から86年にかけて、マスターズを放映する米3大ネットワークのチーフエグゼクティブを務めた人物。その男が「今回の退会を個人的なものに終わらせるつもりはない。フーティ(オーガスタのジョンソン会長)は、メンバーの中には強い反対者は誰もいないと言い続け、この問題はいずれ消えてしまうと信じているようだが、決して消えることはないし消えるべきでもない。私が思うに、少なくとも50名から75名の会員は、女性をメンバーに加えることは避けられないし、避けるべきではないと考えているようだ。もちろん、古いタイプの男も会員の中に多数いることは否定しないが、同時に、思慮深く理性的な会員も数多くいる」と語っているのだから見過ごせない。

 氏のCBSに対する影響力が、どれほど残っているかはわからないが、これに先立ちニューヨークタイムズ紙がCBSを、この問題に対して距離を置いて傍観していると批判していたこともあり、マスターズのテレビ放映の是非まで問われ始めているのだ。すでに、日本人では丸山、谷口、片山、伊沢の4人の出場が決定している今年のマスターズも開催まであと3カ月。とにかく例年通り、無事開催されること願うばかりだ。

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