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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/3号
2002年更新
モンゴメリーとランガーが欧州ツアー
最終戦でなんと“2人同時優勝”の珍事
 欧州ツアー今季最終戦、ボルボマスターズ(スペインのバルデラマGC:11月7~10日)で、なんと優勝者が2人という、非常に珍しい出来事が起こった。

 最終日、B・ランガーとC・モンゴメリーの2人が3アンダーの首位タイでホールアウト。サドンデスのプレーオフとなったのだが、アクシデントが重なったことと日没が予想以上に早かったことで、結局、2ホール終えた段階で決着がつかず、2人とも優勝者ということで試合が終了したのだ。

 タラレバだが、もしモンゴメリーが、本戦の最終18番で、2メートル強のパーパットを入れていれば、あるいは、サドンデスの2ホール目、10番で3メートルのバーディパットを入れていれば決着はついていた。つまり、モンゴメリーのほうが勝つチャンスがあったと言えるが、彼の欧州ツアーでのプレーオフの成績はなんと7戦全敗。そのため「いずれにせよ、プレーを続けるのは不可能な状態だった。自分の過去のプレーオフでの成績を考えれば、(明日プレーオフを続けることより)優勝を2人で分かち合う提案は、喜んで受け入れられるものだった」(モンゴメリー)ということになる。

 普通の選手なら、優勝が2人なんてことは考えないのだろうが、実はランガーは、過去に同じ経験をしていた。少なくとも欧州ツアーでは、2人優勝なんてことは過去16年間なかったことだが、86年のトロフィランコムでランガーはS・バレステロスと優勝を分け合っている。このときも同様に日没でプレーができなかったのだが、その経験があるためか、ランガーが“2人優勝”の提案をしたようだ。しかも、これが今年のツアー最終戦だったために、翌週は試合がなく「皆がすでに明日、どこかへ行く計画を立てているし、優勝を分かち合うことが、この状況では最適なことだと思った」(ランガー)ということで、2人がまず合意し、これにツアーのK・スコフィールド会長とスポンサーが許可を出して、異例の2人同時優勝となった。

 もちろん、他の要素もあった。スタート時間が遅かったことや、モンゴメリーが本戦の10番で、動いているボールをパットした疑いが持たれたため、モニターでチェックするなど、プレーオフの始まる時間が20分前後も遅れる上、プレーオフ2ホール目でも、ランガーがドロップを巡りルール委員の裁定を待つアクシデントもあった。それらがなければ、少なくとも数ホールはプレーオフが続けられたはず。しかし、それでも翌日に続行しなかったのは、「単独優勝であろうと2人の同時優勝であろうと、とにかく優勝(という記録が残ること)は、素晴らしいこと」という言葉が本音のようだ。

 今季は勝利に恵まれていなかった両者だが、2人ともベテランで金には困らず名誉を重視している。とくにモンゴメリーは93年から続いている年間最低1勝の記録もかかっていた。45歳のランガーにしても、試合の流れがモンゴメリーに変わりつつあった上に、もう一日、集中力を持続させるには、自信が持てなかったのかもしれない。そして、過去にも例があることだし、欧州ツアーの大功労者の2人が同時優勝を望んでいる以上、ツアーもスポンサーも翌日プレーオフを続行させることができなかったのだろう。

「ゴルフで大切なことは、勝敗よりも、いかにプレーしたかだ」というのは往年のR&Aのルール委員、ジョン・ロウ氏の名言だが、話を善意に解釈すれば、ヨーロッパにはまだこうした精神が残っているということなのかもしれない。

 ちなみにモンゴメリーは、来年、キャロウェイからベン・ホーガンにクラブの使用契約を替えることが明らかになっているが、奇しくもランガーもたまたま同じベン・ホーガンと契約しているのは何かの巡り合わせか。

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