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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/22号
2002年更新
昨年テロで延期されたライダーカップ
欧州が予想外の勝利! 米国の敗因は?
 昨年のテロによる延期で、99年以来3年ぶりとなった今年の欧米対抗戦、ライダーカップは9月27~29日、英国のザ・ベルフリーで行われた。結果は史上最強と噂された米国チームがまさかの敗退。大方の予想を裏切る結果だっただけに、米国チームの敗因や責任問題など、その後の反響が凄まじい。

 T・ウッズを筆頭に、P・ミケルソン、D・ラブIII、D・デュバルなど、オリンピックで言えば「ドリーム・チーム」ともいえる豪華な顔ぶれの米国チーム。一方、欧州チームのほうは、ワールドランク・トップ10以内は、ライダーカップの経験の少ないS・ガルシアとP・ハリントンの2人だけ。そんな2チームの対戦だけに、断然米国有利というのが大会前の予想だった。

 しかし、いざ蓋をあけてみれば、8対8のタイ・ポイントで最終日を迎える大接戦。それでも最終的には、前回大会のように、24人全員が対戦する最終日のシングルスマッチで、米国が圧勝するかと思われていた。

 その一方、最終日前日の夜に、対戦相手の組み合わせが発表された時点で、欧州チームは勝利を予感していたとか。

 欧州のキャプテン、S・トーランスはこれまでの伝統的な組み合わせに反して、最終日、強い選手を前に持ってくる戦術を取った。これに対し、米国のキャプテン、C・ストレンジは、「ライダーカップを締めくくるトリにふさわしい選手は、世界でナンバー1のタイガーに決まっている」と欧州とは逆に、強い選手を後半に持ってくる極めてオーソドックスな戦術を取った。

 つまり、欧州としては前半でポイントを稼いでおこうというわけで、この作戦が見事に奏功、一番手、大将格のC・モンゴメリーがS・ホークを破ると、続いて、P・ハリントン、B・ランガーと縦続けに欧州勢がポイントを稼ぎ波に乗り、最終的に5勝2敗5分けで競り勝った。

 その裏には、コースコンディションが地元・欧州寄りだったとの声も出ている。通常の米ツアーに比べてグリーンを遅く、フェアウェイの幅を狭めている上に、たとえば10番の311ヤード、パー4など、ティグラウンドをフルバックに持っていき、ロングヒッターが1オンさせることを難しくするなど、結果的に米国チームのパワーを封印したというのだ。

「一体誰がこんな結果を予想していただろう?」とはストレンジの弁解だが、試合の行方が最終マッチまで持ち越されたのは過去30年で1度だけ。実際、今年のライダーカップでも、ラブとウッズの試合の行方が決まる前に勝敗は決まってしまっていた。それだけにストレンジの戦略ミスを指摘する声も出ているが、それ以前に米国チーム最大の敗因は、やはり驕りがあったことかもしれない。

「メンバーが自分のために戦い、自分のプライドのために勝つことを望んでいる」と語っていたストレンジには、やはりチームスピリットが欠けていたといえなくもなく、ウッズにしても前週優勝したWGCアメックス選手権で、「ライダーカップより、アメックスに勝ちたいのには、100万(100万ドルの優勝賞金の意味?)の理由がある」などと語り顰蹙を買っていた。しかも、このウッズのコメントに、ほとんどの米国選手が同意していたのだから、賞金なしで名誉だけを賭けて戦うライダーカップでは、大半の米国人選手がメンタル面では欧州勢に劣っていたいえそうだ。

 加えて、「タイガーにとっての100万ドルというのは、普通の人間にとっての10ドル程度。それだけに、ウッズの(ライダーカップを軽視する)言葉は残念だ」とカルカベキアが語るように、チームワークの点でも、ウッズのコメントは米国チームに陰りを投げかけていた。米国敗北の余韻はまだまだ続きそうだ。

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