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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/15号
2002年更新
米女子プロの男子PGA地区競技優勝で
来季男子ツアーの出場権獲得が波紋呼ぶ
 米ツアーに出場すべきか? それとも辞退すべきか? こんな話題で米ゴルフ界が盛り上がっている。実は先頃、米コネチカット州のクラブプロ選手権で男子プロに混じって出場したスージー・ホエーリー(35)という女子選手が優勝したのだ。ここまでは良かったのだが、この優勝で来年のグレーターハートフォードオープンの出場権を獲得。つまり、男子PGAツアーに女性が史上初めて出場する可能性が出てきたことでちょっとした議論を呼んでいる。

 ちょうど折も折、女性メンバーのいないオーガスタ・ナショナルの問題が米マスコミ界で騒がれていることもあり、ホットな話題となっているのだが、マスターズ委員会をいじめている(?)女性団体NCWOのM・バーク会長が、今回の快挙について「凄いことをやってのけた。彼女がPGAツアーに出ることを期待している。すべての女性が誇れることだし、若い女子選手らの励みにもなる」などと語ったものだから、ホエーリーさんは、米国中から注目され、テレビに出演し、新聞でも大きく取り上げられるなど、ちょっとした時の人になっているのだ。

 しかし、問題はホエーリーさんが優勝した大会は、彼女を含め、2人の女性がプレーしていたが、女性はレディースティを使用できるというルールがあった。つまり、男性が6938ヤードのバックティでプレーしたのに対し、ホエーリーさんは6239ヤードのティでプレーしていたのだ。そのため彼女本人は、「(ハートフォードオープンでは男子と同じバックティでプレーしなければならず)私が普段プレーしているコースより800~1000ヤードも距離が長い。もし私が、全国中継のテレビで、80以上も叩く姿が放映されたら、それが女性のゴルフにとって良いことかどうかわからない。もちろんタイガー・ウッズやフィル・ミケルソンとプレーするのは、素晴らしいことだと思うが、試合に出場するかどうかは、まだ決めかねている」と判断を留保している。

 そのため周囲が「出るべきか、辞退すべきか」と騒いでいるのだが、たとえばウッズは「彼女は(男子の)試合に優勝して出場権を獲得したのだからカッコいいじゃない」と言うし、ボブ・メイは「彼女は歴史に名を残すチャンスを得たのだから、出ない理由はない。米ツアーは“男子ツアー”でなく“PGAツアー”で、誰でもプレーできるんだ」と歓迎の意向を示している。

 そもそもこのホエーリーさんが男子の試合に出た経緯だが、日本では、女性のプロといえばLPGAに所属することになるが、米国ではPGAオブ・アメリカ(クラブプロを中心とする組織)に属する女性プロの存在も珍しくない。彼女は90年代の前半に2年ほどLPGAに属し、女子ツアーに参戦していたこもあるが、あまり目立った成績は残していない。現在はコネチカット州のブルー・フォックス・ランというゴルフ場のヘッドプロを勤めながら、2人の子供を育てている。米国のクラブプロは、プロショップの経営をはじめ、スタート予約の管理など、プレーの能力以上にコース経営の能力が要求されることから、昨今では女性メンバーの進出も目覚しいのだ。

 その一方で、今回の彼女のPGAツアー出場権獲得について批判の声が出ているのも事実だ。もともとPGAツアーは、PGAオブ・アメリカから独立した組織なので、通常の試合にはクラブプロからの出場枠を残している。そのため、ある意味では、PGAツアーに出る“裏口”のような枠ともいえる。しかもコネチカット州の競技にはレディースティの特例があるために、「彼女は異なった基準の元に、異なったコースでプレーし」出場権を得たという批判が上がっているのだ。

 そういえば9月19日、マイク・リーザーというプロが60歳で他界したが、彼はA・パーマーのキャディとして知られる一方で74年、米ツアーのテラハッセ・オープンで、試合期間中に落馬して怪我をし、片手だけのスウィングで、123、114というスコアを出しながらもホールアウトしたという非公式の“ハイスコア”記録を持っている。スコアはともかく、PGAツアーは参加することに意義がある?

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