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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/3号
2002年更新
利用税廃止運動に抵抗の動き強まる
自治体がゴルフ場訪れ署名運動自粛を要請
 JGA(日本ゴルフ協会)を中心に各ゴルフ団体が一丸となって、平成10年から続けてきたゴルフ場利用税廃止の署名運動。今年も8月1日から10月31日までの3カ月間、ゴルフ場、練習場、ショップなどで行われているが、今年は地方自治体が署名運動に抵抗する動きが顕著になり、水面下で双方の厳しい駆け引きが繰り広げられている。

 消費税とゴルフ場利用税が二重に課せられるのは不公平税制で、ゴルフにだけ特別な税を課すのはおかしい、として続けられてきた利用税廃止の署名運動。だが、過去4年間で延べ703万4736名の署名を集めながら、なかなか実を結ばないこともあって「あくまで目標は完全撤廃なのは変わりませんが、とりあえず昨年から当面の要望内容を、従来の廃止から、税率の引き下げ、及び身体障害者、ジュニア、シニアゴルファーについて非課税とするというように変えました。これは、まず段階的にでも実を取って実績を残し、この運動を風化させないようにとの考えからです」(ゴルフ場利用税廃止運動推進本部事務局・鈴木知行氏)

 それが功を奏したのか、昨年は文部科学省と経済産業省がゴルフ場利用税減免要望を省議決定、さらに国会への法案提出の最終段階でもある自民党税制調査会での検討課題の俎上に初めて上がったのだ。

 ゴルフ場利用税の収入が大きな財源となっていて、この運動に真っ向から対立する立場の地方自治体サイドとしては、各自治体が自治省(当時)に利用税存続を要望したり、全国の知事会などが利用税廃止の反対を決議するなどの動きは3年ほど前からあった。ところが、今年に入って、現場レベルで、本気で抵抗し始めたようなのだ。

 具体的には、いくつかの自治体では、この7月から「ゴルフ利用税は、地方公共団体の貴重な財源です。あなたのゴルフ場利用税は、まちづくりに役立っています。都道府県・市町村の環境保護、地域振興などに使われています。」などと書かれたポスターを場内に掲示するよう各ゴルフ場に送付、あるいは戸別訪問してお願いに回っているのである。

 ちなみにこのポスター、都道府県の部局長をメンバーに構成する全国地方税務協議会なる組織が、計1万2000部を作成、各都道府県に送付したもの。県の税務担当者がゴルフ場に配って回ったり、送付するなどして“利用税廃止反対”のPRに利用している。

 同協議会では「今までは納税者に口頭でお願いしてきたが、こういうポスターがあったほうが自治体も“ゴルフ場利用税廃止反対”をお願いしやすいだろう」(事務局)との主旨で、とくに利用税廃止の動きが現実味を帯び、それに対抗しようといった意図はないというのだが……。

 あるゴルフ場支配人によれば、県の税金担当者がゴルフ場を訪れ、ポスターの場内掲示とともに『利用税廃止の署名運動は困る。できるだけ自粛してもらいたい』といった話があり、雑談の中で、今年が固定資産税の見直しの年であることにさりげなく触れるのだとか。固定資産税の評価基準は、ある意味、税務担当者の胸先三寸。つまり“言うこと聞かないと固定資産税を上げるぞ”と暗に脅されているような雰囲気でもあったいう。

 そこで黙っていないのが、署名運動とともに利用税反対のポスター掲示をゴルフ場にお願いしているJGAだ。事態を知ると7月23日に臨時理事会を開き「ゴルフ場利用税の廃止を求める我々の主張と真っ向から相反するものであり、全国税務協議会作成のポスターを掲示しないよう、全国のゴルフ場に通知し協力を求める」と決議した。

「こういった話は、いくつかのゴルフ場から報告されています。ゴルフ場の支配人は立場上、自治体の出先機関の形で利用税を徴収する役割を担っています。それなのに廃止の署名運動を積極的に行っているということでは、地元自治体の税務担当へ対応しにくいという面は否定できません。ただ一方で、“利用税廃止”と“利用税廃止に反対”の2つのポスターをゴルフ場に同時に貼ってはゴルファーを混乱させてしまいます。あるゴルフ場の支配人からは、今回のJGAの通知に対し『よく決めてくれた』との声も聞かれました」(前出・鈴木氏)

 つまり、JGAからお達しがあったということで、県のポスター掲示の要請を断わりやすくなったというわけだ。

 先の8月7日には自民党本部で行われたゴルフ振興議員連盟(相沢英之会長)総会の場で、後藤田正晴JGA会長、そして学生ゴルファーを代表するひとりとして東北福祉大4年の宮里優作くんら「過去に例のない数のゴルフ団体(13団体33名)」が要望書を提出、(1)将来、ゴルフ場利用税は廃止する、(2)標準税額を現行の800円から400円に引き下げる、(3)身体障害者、20歳未満及び学生である者、65歳以上の者は非課税とする、の3項目を決議し、利用税廃止に向けた今年の運動は本格的に始動し始めた。

 先述の通り、地方自治体の抵抗がここまで強くなったということは、それだけ利用税廃止性が、現実味を帯びてきたことの証拠といえる。暗い話題が続くゴルフ場業界だが、今年こそ、実を結ぶことを期待したいものだ。

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