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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/9号
2002年更新
かつて日本に参戦、賞金王争いも演じた
豪州のR・マッカイがリンパ腺ガンで逝去
 1980年代後半から90年代にかけて、日本ツアーで活躍したオーストラリア人のロジャー・マッカイ氏が6月21日、母国でリンパ腺ガンのため死去した。46歳だった。

 少年時代からゴルフを始め、80年に全豪アマに優勝、その3年後の26歳でプロ転向。大学卒業直後は専攻した鉱山冶金学関係の仕事をしていたが、収入のアップと自分の可能性に賭けるため、義兄弟のウェイン・スミスプロのすすめもあってプロゴルファーの道を選んだという。母国では豪州プロ選手権を含む2勝を挙げ、88年から本格的に日本ツアーに参戦。当時、日本ツアーでは海外選手出場の要請が高く、同じ豪州のC・パリー、I・ベーカーフィンチらとともに87年に招聘され、88年には推薦で出場したわずか11試合で賞金シードを獲得、以後96年まで賞金シードを堅持した。この間8勝を挙げ、とくに91年には3勝を挙げ、尾崎直道と最後まで賞金王争いを演じ、賞金ランク2位になっている。プレー以外の功績も大きく、マッカイ氏は外国人プロに対する日本人の印象を変えたと言われている。外国人は「腰掛け参戦」的な印象を持たれることが多かった中、豪州の先輩のブライアン・ジョーンズとともに、日本人社会とツアーに積極的に入り込むことに務めた。

 当時、ツアー運営会社で海外選手の招聘などを担当していた山中博史JGTO競技ディレクターは「日本ではどういうことをしたらダメなのか? どう振る舞ったらよいか? といった質問をよく受けました。プロアマでは、努めて日本語でアマに教える姿は印象的でした」と語る。クラブ契約をしていたテーラーメイドのプロ担当の李圓相氏も「日本語で書かれた組合せ表を見て、一緒に回る日本人選手の名前を言い当てたのには驚きました。選手の名前程度の漢字はかなり知っていました」と振り返る。

 マッカイ氏は90年代初頭には「ポカリスエット」のロゴ入りの帽子を被っていたが、当時、外国人がゴルフ以外の日本メーカーと契約するのは珍しく、その点でも先駆者であった。来日時の日本側代理人だったジャック坂崎氏は、「91~92年頃、契約の話があり、当時強くてテレビへの露出が多かったこともあったが、人柄的にもクライアントの受けが良く、契約となりました」と語る。

 マッカイ氏の人柄の良さについてのコメントは多い。彼の所属先のタイトリストで外国人選手のマネジメントを担当していたクリス・トモさんは「宿泊先の予約等に関しても、『取ってくれるだけで十分』という感じで、不平不満は一切口にしたことはありませんでした。また、外国人選手の中で一番日本人選手と分け隔てなく接したプロでした」と思い出を語る。

 一方で、外国人特有のユーモアのセンスも持っていて「W・スミスらと一緒に、他人のロッカーに変な物を入れるイタズラをよくしてました」と話すのは、ダンロップ契約時のマネジメントを担当していた平山のぶ子さん。

 日本ツアーに参戦していた頃、いつも行動をともにしていた豪州のC・ウォーレンは、「病気のことは昨年知って、すぐ電話したけど『大丈夫』と言ってました。ゴルフでも自分の体調の悪さを絶対言い訳にしなかったので、周りに心配かけないように黙っていたのでしょう。本当に残念です」と言う。

 デビッド・イシイは「彼は腰痛がひどく、試合の日もコ-スに来ると、まず風呂に入りストレッチをしていたし、ラウンド前はほとんどボールを打たなかった。上手かっただけに十分な練習ができなかったのが残念です。性格もよくいつも楽しい話題を振りまいていた。本当に残念」と言葉を詰まらせた。

 マッカイ氏は、日本ツアーでの長尺パター使用の先駆者でもあった。同氏が使い始めた93年頃、海外でイップスの選手が使うことはあっても、日本ではまだ長尺パターは珍しかった。

「彼の場合は、腰への負担を少しでも軽減するために使うんだと言って長尺を使ってました。彼の使用以降、多くの日本人が使うようになりました」と、当時テーラーメイドでクラブ担当をしていた吉本晴夫氏は言う。マッカイ氏は日本でメタルウッドを普及させた功績もあったとのことで「当時、テーラーメイドはメタルにバブルシャフトをつけてましたが、その奇抜さに日本人選手には使ってもらえず困っていたら、彼がまっ先に使ってくれたのです」(吉本氏)

 JGTO及び選手会はマッカイ氏を偲び、先週のよみうりオープンでは選手が黒いリボンをつけてプレー、弔意を表した。

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