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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/28号
2002年更新
今年からキャロウェイのボール使用選手が
大幅にアップ、突如1位にまでなった理由
 男子ツアーは先週までに5試合を消化し、シーズン前半の用具関係の話題も出そろってきた。そんな中、序盤戦でのキャロウェイのボールの使用率の急上昇が注目を集めている。

 キャロウェイのボール使用選手は、昨年終盤の宇部興産オープンでは出場全選手中、僅か9人(ブリヂストン、タイトリスト、ダンロップに次ぎ4位)だったのが、今年4月下旬のつるやオープンでは出場選手中、約28パーセントの37人が使用して1位になっているのだ。ブリヂストン、ダンロップという2大国内メーカーが強い日本にあって、海外メーカーで、しかもボール事業参入3年目のキャロウェイが、プロ使用率でいきなり1位になったことは業界内にちょっとしたショックを与えている。

 昨年、プロV1旋風を起こしたタイトリストでさえ成し得なかった日本ツアーでの使用率1位を、新参のキャロウェイが実現した理由は何なのか?

 ゴルフ用品業界に詳しい片山哲郎氏は同社のPR戦略の変化を挙げ、「クラブではエンジョイ層へのフルカバー戦略で成功してきたキャロウェイが、後発のボールに関しては早く信頼性をアピールしたかったために、敢えてプロからのトップダウンを選んだ」と分析する。

 ツアープロにとって、ボールの変更は、クラブと違い全ショットに影響を与え、フィーリングから距離感まですべてのリセットを余儀なくされるため、ボールの契約には慎重になるといわれている。そのボールのチョイスに保守的なプロが、去年のボール単独契約ゼロから今年43人(総合契約を含めると50人)と大幅に増えたことで、キャロウェイのボールの品質の高さは効果的にアピールできたというわけだ。

 一方で、今回は外資メーカーにはよく見られるように、大量の契約マネーが動いたのではないかという憶測が業界内に流れもしたが、この点に関し、キャロウェイゴルフ・PRマネジャーの松尾俊介氏は、「契約金に関しては個々のプレーヤーによって違うので公表は差し控えますが、むしろ業界内の平均より低いほうだと思います」と反論。実際、今年からボール契約をした牧坂孝作は「金額の多い少ないによって契約することは一切ない。プロはフィーリングと性能が良いボール以外絶対に使わないと思う」と証言する。

 プロの使用率の大幅アップの要因に、トーナメント会場でのツアーサービスの対応の速さを挙げる向きも多い。従来、ボールテストは契約プロがオフシーズンに行うことが多いが、キャロウェイの場合は去年の秋口からトーナメントコースでプロに配り、練習ラウンドで打たせるといういわばテストのオープン化を行った。ある選手が飛ばせば、当然他のプロの目に止まる。そういう経緯で契約したプロも多く、「飛ぶという噂を聞いて打たせてもらったら、以前使っていたボールよりも芯を喰ったときに飛距離が伸びていた」というのは、やはり今季から使用し始めた佐藤信人。また、牧野裕など今季から使い始めた多くのプロが「風に影響されにくい」という利点を挙げている。

 このキャロウェイの躍進について、ここ数年日本のツアープロ使用率1位の座を保持してきたブリヂストンスポーツでは「短期的にしろ1位を譲ったことは厳しく受け止めている。ただ当社の契約はプロの使用という一方的なものではなく、プロからのフィードバックを含んだ相互的なものなので、単なる数字の積み重ねには意味がないと考えている」(佐々木正広・広報グループリーダー)とする。

 ダンロップでは「使用率は大事だし、そのアップを目指すことはいうまでもない。ただ、当社は総合的な契約を第一と考え、その意味では片山晋吾プロを始めダンロップの顔としてのプロモーションができていると思う」(藤田英明広報課長)

 ただ、このボール戦争、キャロウェイは安閑とはしていられないという意見も多い。同社としては、新ボール「HX」を前面に押し出したいが、谷口徹や佐藤信人といったトッププロは、昨秋発売のモデル「CTU30」を使っている。

 また、前出の片山氏によると、「主要店舗の売り上げでは『エブリオ』(ダンロップ)、『アムズィー』(ブリヂストン)、『プロV1』(タイトリスト)、『HX』の順で拮抗しているようだが、全ボールのメーカー別シェアではキャロウェイは昨年で5パーセント程度」とのこと。

 メーカーにとって一番の目標は売り上げアップであり、ツアープロの使用率はそのための手段に過ぎないことはいうまでもない。今後はプロの使用率が一般ユーザーのどう反映されるかかが注目される。

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